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二度あることは三度ある、怒り爆発!第一王子のお茶会

こんばんは!

前回、ヴァイスから「世界遡行の邪神」という重すぎる使命を告げられたフローラ。しかし、そのシリアスな流れは、馬と鹿こと第一王子セドリック殿下からの三度目のお茶会の誘いで一変します。

「二度あることは三度ある」とはよく言ったもので、今回のお茶会は優月ちゃんの積年の不満と怒りを大爆発させる結果に!

そして、ただキレるだけでなく、フローラは第一王子をある目的のために利用しようと企みます。

しかし、その背後では、フローラの最愛の婚約者、ジークベルト様の身に恐ろしい危機が……!

キレたフローラ(優月)の無双アクションと、二人の究極の愛が試される緊急事態に、ぜひご期待ください!

拝啓 お父さん、お母さん。

第一王子のお茶会にお呼ばれされました。

これで何回目でしょうか…


『三度目だな』


言わないでよ、レヴィ!

数えたくないんだから…


『第一王子はどんな方なのですか?』


『主の言葉で言うならば、馬と鹿だな』


『馬と鹿…?』


ヴァイスも第一王子を見たら分かるよ

庭に案内されたけどまだ王子は来てないのか


『主よ、気を付けろ。用意されている飲み物を飲むでないぞ』


まさか睡眠薬?


『かもしれん』


『毒ではないですね』


仮にも王子が睡眠薬を盛るとかやったらアカンやつ…毒も問答無用でダメだけど


従魔と念話をしていると王子が来たようだ


「急な誘いにも関わらず来てくれて嬉しいよ、フローラ嬢」


「ごきげんよう、セドリック殿下。殿下の誘いは無下には出来ませんから」


完璧なカーテシーをして椅子に座った


「…ジークベルト殿との婚約生活はどうだ?不満はないのか?」


「ないですね」


「……即答か。なら、このまま夫婦となるのか?」


「そのつもりですわ」


「………そう上手くいくか分からないけどな」


なんか含みのある言い方だな。

直球に聞いて言いかな?


『聞いてみたら良いだろう』


「セドリック殿下、それはどういう意味ですか?」


「いや、何でもないよ」


何でもなくない?!絶対何か隠してるって!!


「もしかして、私には言えないことですか?」


「それは…」


口ごもるなよ!!何だろう、イラっとしてきた


『落ち着け、主。ここで粗相してしまえば今までの苦労が水の泡だ』


分かってる…分かってるけど、ふー…

ここはアンガーマネジメントだ。怒りを静めないと…


「………」


「ところでフローラ嬢、飲まないのか?」


「喉は渇いておりませんの。申し訳ありません」


「…いや、いいんだ」


めっちゃそわそわしてるな。そんなに飲んで欲しいんだ。……分かってて飲むのは嫌かも


『飲まん方が良い。この王子に何されるか分からんぞ』


だよね~…早く帰りたい。退屈。


「…殿下、もうお暇してもよろしいでしょうか?」


「まだ5分も経ってないぞ?もう少しここに居ても...」


「私には婚約者が居ますから。殿下と二人きりだなんて、ジークベルト様に合わせる顔がありませんわ」


「……っ、そんなに彼がいいのか?」


「は?」


「私だって、……俺の方が君と歳が近いじゃないか。ジークベルト殿は君よりも6つも歳上なのに」


「年齢なんて関係ありません。ジークベルト様は何度も気持ちを伝えてくれましたが、殿下は一度も伝えてないでしょう?」


「そうだな、でも俺はジークベルト殿と違って第一王子だ。フローラ嬢は俺を選んでくれるとばかり…」


「選びませんが?」


「………っ」


『主、低い声になっているぞ』


あ、やべ。つい低い声を出してしまった

しょうがなくない?何もしないで選んでくれるとか傲慢すぎない?


「私はジークベルト様以外、興味ありませんから。これから先、殿下のお誘いは断らせていただきます」


「……君も俺を選んでくれないのか」


「どういうことですか?」


「父上も母上もルーカスばかりに構って、俺のことは褒めてくれない。もっと出来るだろうとか、次期国王はルーカスだとか、……もしあの時、フローラ嬢が俺を選んでくれたら、婚約者になってくれれば父上と母上も俺を認めてくれたかもしれないのに...」


プッチーン。私の中で何かが切れた。

低い声で王子に話しかける


「チッ、勝手に自分語りするな鬱陶しい。第一王子として責務を果たしてるんか?誰も認めてくれない?それに見合う努力はしてんの?」


「え、っと、フローラ、嬢?」


「私は王子を選ぶわけないでしょうが。あの舞踏会という公の場でいきなり初対面で婚約してくれなんて申し込む馬鹿はどこにいる?常識外れ過ぎるから。馬鹿王子、耳の穴かっぽじってよく聞け」


「…っ、はい」


「一目惚れしたからって婚約を申し込むな、順序を弁えろ。何もしないで相手が好きになるわけないから。王子だからって選んでくれると自惚れるな。私は興味ないから」


「………」


「それと国王陛下と妃殿下のことだけど、様子が変だったりしないわけ?」


「変、とは?」


「馬鹿王子がさっき言ったように、ルーカス殿下ばかり構うとかいつから?」


「確か、舞踏会で能力が分かってからだと」


「それでか...」


『主、何か気になるのか?』


馬鹿王子の闇属性も珍しいのに、それよりも光属性のルーカス殿下しか褒めないのはおかしいでしょ


『それは一理あるな。この者の闇属性は魔物とは違う純度のある闇属性だ。使い方を気を付けていれば身体に影響はない』


闇属性って禁忌の魔法があるけど、それを使うには命を代償にしないといけない。でもこの馬鹿王子は純粋な闇属性しかないってこと?


『そうだな。貴重な闇属性持ちを褒めないとは…国王陛下は何を考えているんだ』


「セドリック殿下、私は殿下のことを好きになりません。ですが、友人としてなら交流しても良いとは思ってます」


「友、人…」


「殿下が成果を出したらですけど」


「…成果?」


「殿下には国王陛下と妃殿下を探ってもらいます。貴方の闇属性のスキルがあるでしょう?」


「だかそれは…」


「良いからしろっていってんの。迷うな、迷うなら行動に移せ」


「はい…」


「それと、このお茶会は何の意味があるか言ってみ?」


「…………す」


「はっきり言わんかい!!」


「ラゼボ王国の第一王女エステル姫とジークベルト殿の結婚式をするための口実です…」


「はぁ?!結婚式?!」


「エステル姫と会った時に話したんだ…。彼女はジークベルト殿が欲しいと。その為にはフローラ嬢は邪魔だから引き離してくれって頼まれて...」


「あのわがまま姫…」


「俺も、反対はしたんだ。だが、フローラ嬢が手に入るって口車に乗せられて...」


「この馬鹿王子!簡単に口車に乗せられてるんじゃねぇよ!!」


『落ち着け、主!』


王子に殴りかけそうになり、レヴィが止めてくれる


「ごめんなさい!」


「今、どこで結婚式やってんの?」


「確か、ラゼボ王国の教会で」


「それは分かるわ!どこの教会でやってるのか聞いてんの!」


「そこまではわからない...」


「役に立たねぇ王子だな?!国王陛下と妃殿下の件、頼めないでしょうが」


「俺のスキルが役に立つなら、罪滅ぼしとしてやらせてくれ。フローラ嬢には悪いことをしたと思っt」


「自覚あるならするな!!馬鹿王子、必ず成果を出せよ…?」


「ハイ…」


『お嬢、王子が怖がって震えてますよ』


『ヴァイス、主には聞こえてないみたいだ。口調も砕けてしまっている』


『……これはわがまま姫とやらが可哀想ですね』


『あぁ…。しかし我らは主に従うまでだ。主の婚約者である若造と結婚式を挙げるなど許せない行為だからな』


『……そうですね(レヴィもお嬢と同じく怒ってる。かくいう私も許すことは出来ませんけど)ここはお嬢に従いましょう』


「成果を出さなかったら、許さないからな?返事は?」


「はいィっ!」


「話してる時間が惜しい、直ぐにでも向かう。レヴィ、ヴァイス、私の体から離れんなよ」


『『御意』』


無属性魔法発動、空間(ディス)歪曲(プレイス)


私たちは瞬間移動をして結婚式場である教会の前に一瞬で着いた。場所は何で分かったって?

ジークベルト様とお揃いのペアリングの位置情報を見たからだよ!


そして怒りのまま、重いドアを蹴り開けると会場にいる全員からの目線を浴びる。


ビンゴ。ウェディングドレス姿のわがまま姫とタキシード姿のジークベルト様がキスをする寸前だった。


ジークベルト様は操られているのか、いつもの彼じゃなかった。目に光がない。


「レヴィ、お願い!」


『任されよ!』


レヴィは勢い良く飛んでいき、わがまま姫を押し倒す


「何するのよ!!」


私はレヴィの後を追いかけ、ジークベルト様に背伸びをして彼の唇にキスをする


元に戻って、ジーク様!


「……っ、?!」


「…ジーク様、」


「フロー、ラ?え?君から俺にキスをしてくれたのか、?」


「元に戻ったぁ…良かった…」


ジークベルト様を抱き締める


「………フローラ」


彼は私の名前を呼び抱き締め返してくれる。

…安心する。私にはジークベルト様しかいない


『若造、顔が赤いままだな』


『嬉しかったのでしょう。お嬢にキスされたことが』


『姫君、レヴィ、ヴァイス、すまない。我の責任だ』


「アストラル、あとで言い訳を聞く。今はこのわがまま姫にお返ししないとね」


「「…………」」


従魔たちは黙ってしまった。ジークベルト様は目を閉じて余韻に浸ってるからいいや


次回!わがまま姫に怒りの鉄槌。ゆるすまじ。


『主よ、ゆるすまじとはなんだ?』


絶対許さないってことだよ。さぁどうしようか


『思い切りやればいい。我も姫君に力を貸そう』


『私もお嬢に力を貸しましょう』


『我も主に加担しよう。許せないからな』


よし!みんなで怒りの鉄槌をお見舞いしよう!

第28話、お読みいただきありがとうございました!

フローラ、ついに怒りのリミッターが外れましたね!「チッ、勝手に自分語りするな鬱陶しい」と、長年の我慢を爆発させた優月ちゃんの本音と、「馬鹿王子、耳の穴かっぽじってよく聞け」という痛烈な皮肉に、読者も最高のカタルシスを感じてくれたのではないでしょうか。

そして、「空間(ディス)歪曲(プレイス)」からの教会への瞬間移動、最高でした!

何よりも、「操られて光を失ったジークベルト様」を、フローラの「愛のキス」が元に戻すというシーン!二人の絆が世界の法則を超越した瞬間でしたね。私も書いていて鳥肌が立ちました。

さて、キスで余韻に浸っている公爵様を横目に、次なるターゲットは「わがまま姫」ことエステル姫です。

次回、優月は「ゆるすまじ!」と宣言した通り、わがまま姫に怒りの鉄槌をお見舞いします!フローラがどんな無属性魔法チートと知的なざまぁを繰り出すのか、ぜひご期待ください!

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