【限定開示】「火属性だけ!」過保護家族への、チート能力の自主規制
こんばんは!
今回の22話では婚約者のジークベルト様と、過保護なアシェルお兄様が、私の魔法習得をきっかけに、なぜか「男の負けられない戦い」を始めてしまいました。
目的は、もちろんフローラへの「愛」の証明。
アシェルお兄様は最強の防御素材を、ジークベルト様はフローラの能力に合った最高の触媒を探しに、魔物狩りへと出かけます。
そして、出発直前、ジークベルト様の大胆な行動に、フローラの心は初めて大きく揺さぶられて……。
兄二人の激しい戦いの裏で、ついに「恋心」を自覚した伯爵令嬢フローラが、自分の平穏と運命の狭間で揺れ動きます。
アストラル、レヴィの口から飛び出す「世界の真実」の断片は、フローラに何を意味するのでしょうか――。
そんな22話をどうぞお読みください!
拝啓 お父さん、お母さん。
フローラの家族に火属性だけですが、魔法が使えるようになったと言ったら何故かアシェルお兄さんとジークベルト様が魔物を狩りに行くそうで、男の負けられない戦いだそうです
屋敷の中庭で二人を見送ることに。
「フローラ、行ってくるよ。兄である俺を応援してくれよな」
「アシェルお兄様、頑張ってくださいね」
そう私が言うとアシェルお兄さんは、馬に乗って出掛けた。
「フローラ嬢、私も行ってくる。必ずアシェル殿に認めてもらうから」
「ジークベルト様、お気をつけて...」
「ありがとう(そう言ってフローラの額にキスをする)」
「っ?!ジ、ジークベルト様?!」
「「…!!」」
「じゃあ行ってくる」
そう言ってジークベルト様も馬に乗って出掛けた
びっくりした…。額にキスをするなんて…
『顔が赤いぞ、主』
言わないで!自分でも頬が熱いって分かってるから...
「ジークベルト様ったら大胆ね~。ところでフローラ、お願いがあるんだけど良いかしら?」
「良いですよ、お母様」
「この前に言ってた、フローラの魔法見せてくれない?」
「今ですか?!」
「えぇ。だってアシェルとジークベルト様は魔物を狩りに行って私たちは待ってるだけだし、今しかないじゃない?」
「フローラの魔法を見れるのか。それは良いな」
「お父様まで…」
「アリア、君はフローラが魔法を使えることに驚いてなかったが知っていたのか?」
「えぇ、知っていたわ」
あ、カイトパパが衝撃を受けた。鳩が豆鉄砲を食らったような顔してる
「……フローラ?」
「え、えっとその…」
「カイト。フローラが火属性の魔法を使えることを貴方と双子に言ったら面倒になりそうって思ったのよ」
「め、面倒…?!」
「フローラは賢明な判断をしたと思ってるわ。気を取り直して、貴女の魔法を見せてちょうだいな」
アリアママ、強い…
見せると言っても何を見せればいいかな?
メ○だと迫力ないし、メ○ゾー○だと大きすぎるし…あと詠唱もしなきゃいけないでしょ?
『我が詠唱の言葉を教えてやろうか?』
アストラル、火属性の魔法使えるの?
『いや使えん。だが詠唱は知っている』
なんで知って...はっ!魔法を無効化するから今までに火属性の魔法も受けたってこと?!
『そうだな。といっても遥か昔のことだが』
レヴィ、この世界っていつからあるの?
『……我が生まれる前からあるからな…アストラルなら知っているだろう』
『……我は古の番人であり、1万年生きている。この世界は数億年前に神々によって創造された。我が生まれたのは1万年前。大崩壊の際に神々が古の番人を生み出し…』
ちょっと待って!ストップストップ!!
なんか話が壮大になってきたからその話はまた今度ね!今は家族に火属性の魔法見せなきゃ!
「では、見せますね!紅蓮の炎よ、我の掌に集え!」
火属性の魔法発動!炎撃!と心の中で唱えるとメ○ミくらいの火が私の掌に出てきた
「まぁ!すごいわ、フローラ!(これはカイトがますます過保護になるわね…)」
「詠唱が短いながらも見事だな…(護衛を増やすか?いやしかし…フローラに嫌われたくない)」
「さすが俺たちの妹だ、フローラ。アシェルが見たら抱きしめそうだ(アシェルには及ばないけどそれでも十分強い魔法だな)」
簡単に想像つく…。アシェルお兄さん喜びそうだもんね。
『姫君は平穏を望んでいるのだったな。灼熱煉獄は出さないのか?』
出さないよ!メ○ガ○アー級の魔法出したらまずいから!!
「フローラの魔法も見れたことだし、お茶にしましょうか」
「そうしよう、アリア。フローラ、レーヴィ、少し待ってなさい」
「「分かりました」」
カイトパパとアリアママが屋敷の中に入っていっちゃった。こういうのって使用人に頼まないのかな?
「…フローラが魔法を使えるようになって嬉しくなったんだと思うよ」
「えっ?」
「子供である俺たちに見せられない顔だってあるさ」
レーヴィお兄さん、私の心が読めるとかエスパーなの?それとも偶然?
「フローラは考えてることがたまに顔に書いてあるから、分かりやすいな」
「っ?!」
「そういうところも可愛い。……だからジークベルト殿も好きになるんだろうな」
「レーヴィお兄様は私とジークベルト様の婚約を認めてくれているのですか?」
「もちろん、今は認めてるよ。誓約書を書いた頃のフローラは恋愛感情は無いって言ってたけど、今のフローラはジークベルト殿ことを好きになったみたいだから」
「えっ?!」
レーヴィお兄さん、エスパーだ!!なんで気付いたの?!
「…フローラがジークベルト殿を見る顔が変わってたから分かるよ。アシェルは分かってないみたいだけど…妹の恋路を邪魔するなんて野暮はしない。俺はアシェルと違ってフローラの味方だから」
「レーヴィお兄様…」
「ジークベルト殿に伝えないの?」
「……まだ、言えなくて」
「ジークベルト殿はフローラの気持ちに気付いてると思うし、その上でフローラから言ってくれるのを待ってるんじゃないかな」
「…そう、ですよね…」
「焦る必要はないよ。フローラの気持ちを踏みにじるようなことをしたら、俺でもジークベルト殿のことを許さないから」
「冗談、じゃないみたいですね…」
「俺にとってフローラは大切な妹なんだ。当たり前のことだよ」
レーヴィお兄さんと話していたら、誰かが帰ってきた
「フローラ嬢!」
「ジークベルト様!」
先に帰ってきたのはジークベルト様だった。その一分後にアシェルお兄さんも帰ってくる。
私は馬から降りたジークベルト様の側に駆け寄り、勢い余って彼を抱きしめた
「……おかえりなさい、ジーク様」
「…ただいま、フローラ(彼女から抱きしめてくれるなんて、疲れが吹き飛ぶな)」
ジークベルト様は私を抱きしめ返してくれた
私は顔を上げジークベルト様を見上げる
「早かったですね、まだ30分も経っていないのに」
「アシェル殿より早く帰らないとフローラとの婚約を認めてもらえないからな、頑張ったんだ…」
「ジーク様…お疲れ様です」
「ありがとう、フローラ」
『主、若造と甘い雰囲気になるな。兄君が待っているぞ』
はっ!ヤバいヤバい。
「ア、アシェルお兄様もおかえりなさい」
「ジークベルト殿のついでで言われてもなんか嬉しくない…」
「アシェル、この勝負はジークベルト殿の勝ちか?」
「………いや、魔物の素材による。フローラが気に入った方の勝ちだ」
条件変わってない?!先に持ってきた方の勝ちじゃなかったっけ?!
「……(意地が悪いな、アシェルは)」
「……フローラ、俺が持ってきた素材を見てくれるか?」
と言いながらジークベルト様は抱きしめたまま、アイテムボックスから結晶を出した
「これは…?」
「純魔結晶だ。属性を持たない、極めて純粋な魔力の塊でフローラなら活かせられると思ってな」
「綺麗...」
「フローラ、俺のも見てくれ!」
アシェルお兄さんがジークベルト様と私の間に入ってきて、私たちを引き離した
「アシェルお兄様、それは?」
「鋼鉄竜の鱗。魔力耐性と頑丈さに優れていて、防具にぴったりなんだ」
アイアンドラゴン?!この世界にはドラゴンがいるの?!
『レヴィよ、姫君のてんしょんが上がったな…』
『…これは、若造が不利かもしれん』
「フローラ、どっちの魔物の素材が気に入った?」
レーヴィお兄さんが私に聞いてくる。
……アイアンドラゴンの鱗も気になるけど、ここはジークベルト様の純魔結晶かな…
「ジークベルト様の持ってきた魔物の素材が気に入りました!」
「だ、そうだよアシェル」
「………フローラに嫌われるのは不本意だからな。……ジークベルト殿、フローラのことを泣かせるようなことがあったらすぐにでも婚約破棄させてもらう」
「そのようなことは天地がひっくり返ろうがあり得ませんが、フローラ嬢を大切にします。アシェル殿」
「ということは、アシェルお兄様…婚約を認めてくれるのですか?」
「…認めるよ。でも万が一フローラが泣いていたら俺はジークベルト殿のことを許さないから」
「ありがとうございます、アシェルお兄様」
勝者はジークベルト様に決まり、婚約を認めてもらえた。良かった良かった...
平和に終われば良かったのに、明後日に控えた第二王子との会話で私の平穏が遠のくことになるのだった…
次回!第一王子の企み…?第二王子から告げられる真実とは?
なんで平和に終わらないの?!そろそろ平穏ライフを送りたいよ!
『姫君の望む平穏はまだ先になりそうだな…』
意味深なんですけど?!アストラルは何を知ってるの?!
『すまないが、今はまだ言えんことだ…』
レヴィは知ってるの?!
『我も知らん』
私が転生したのはよくある令嬢ものじゃないってこと?!誰か教えて!!
このエピソードを読んでくださり、ありがとうございます!
ジークベルト様とアシェルお兄様の「愛の戦い」は、フローラの純魔結晶への一目惚れにより、ジークベルト様の勝利となりました!
これでアシェルお兄様からも正式に婚約を認めてもらえ、ロマンスとしては大きな一歩を踏み出せましたね。フローラ嬢、本当におめでとうございます!
しかし、彼女の「平穏ライフ」への道は、どうやらまだまだ遠いようです。
アストラルとレヴィの会話で垣間見えた「神々による創造」「大崩壊」「古の番人」といった壮大な伏線が、いよいよ次章から動き始めます。
次回は、いよいよ明後日に控えた第二王子との会話。
彼は何を企み、そしてフローラに告げられる**「真実」とは一体何なのか――。
物語の核心に迫る展開に、ご期待ください!
(※「私が転生したのはよくある令嬢ものじゃない」というフローラの不安は、まさしくその通りなのです!その答えを次回に!)




