【2章開幕】密月の平穏(ひととき)を終えると第二王子から呼び出されました
こんばんは!本日より第2章の開幕です!
ついに第2章に突入しました!
前章は第20話のクライマックスで幕を閉じましたが、第21話は少しおまけの蜜月期間から始まります。
ジークベルト様とサージェント領地でひと月過ごした優月ちゃん。この甘い平穏の中で、優月ちゃんの恋心はついに自覚」の時を迎えます。
そして、その愛を受け止めたジークベルト様との間で、とんでもない秘密が明かされることに……!
優月ちゃんの心も、そして物語も、ここから大きく動き始めます。
第2章の舞台はこの世界の真相へ。新たな展開と、愛が重すぎる家族の暴走を、どうぞお楽しみください!
拝啓 お父さん、お母さん。
優月は、ジークベルト様のことが恋愛感情の好きだということに気付きました。どうしたら良いでしょうか…
『若造に伝えれば終わる話ではないか』
簡単に言えたら苦労しないから!
『姫君は公爵に対して恋心があると?』
『若造は主にアピールしておったのに、惚れるわけないだの、恋愛感情は無いだの言っていたな』
『姫君…』
ちょっとレヴィ?!アストラルに告げ口しないでよ!もう!!
サージェント家の領地でジークベルト様と1ヶ月過ごしてたけど、本当に心臓が持たなかったんだから!
『我らのことなど視界に入っていない様子だったな。お主にずっと抱きついて甘い言葉を囁いて…』
わー!!ここから先のこと言っちゃだめ!!
レヴィとアストラルと念話をしていると、急に後ろから抱きしめられる
「フローラ、俺のことを放置しないでくれ」
「ジ、ジーク様っ…」
「念話をするのは良いが、放置され過ぎると悲しくなるから」
「気を付けます…」
「フローラがこの婚約に納得すれば、俺たちは夫婦になれる。俺のことは嫌いか?」
「嫌いではないですけど…」
「けど?」
「………私なんかで良いのかなって」
「またそれか。俺はフローラ以外考えられないし、フローラの全部が好きなんだ。もちろん、フローラの中に居るもう一人のフローラもね」
「……」
「…フローラの能力を全部知っているのはその従魔たちだけなんだろう?」
「そうですね」
「俺にも教えて欲しい。それを聞いたとしても俺の気持ちは変わることはないから」
「………」
『何を迷う必要がある?若造はお主のことを受け入れると思うが?』
分かってる。……ジークベルト様に言ったらカイトパパたちにも言わなきゃいけなくなるのかなって思って
『たとえ家族に言ったとしてもそれが王族に伝わることはないと思うぞ。主のことを守るだろうな』
「…ジーク様、私の使える魔法の属性は全属性使えるんです。それに加えて無属性も。……スキルは」
「待ってくれ、フローラ。全属性使える?無属性、はこの間見たからなんとなく分かるが、全属性?!」
ジークベルト様が驚いてるの初めて見たかも
可愛い…
「驚きますよね…」
「……すまない、取り乱した。続きを言ってくれ」
「えっと、スキルは無詠唱に魔力∞、空位の器と鑑定と従魔契約です」
精霊契約はまだ使用不可だったし言わなくて良いか
ジークベルト様は私を抱きしめたまま、肩に頭を乗せてきた
「…………言葉を失うとはまさにこの事だな」
「…嫌いになりました?」
「なってないよ。むしろ色々と合点が合った。フローラのことを視ても能力無しだったのは、スキルで隠蔽していたからなのか」
「……平穏に過ごしたかったので」
「フローラらしいな。…その平穏を守るためにも俺はずっとフローラの隣にいたい」
「ジーク様…」
「ところで、フローラ。君の従魔のアズ殿だが、レヴィと呼んでいなかったか?ずっとこの1ヶ月間気になっていたんだ」
「えっ?!えっと…」
『そろそろ言っても言い頃合いだろう。我から言う』
ふぁっ?!レヴィ?!
「若造、我の名はアズではない。伝説の魔物、シャドウ・リヴァイアサンだ。主からはレヴィと名を付けられた」
「シャドウ・リヴァイアサン…?まさか、あの時の」
「あぁ、そうだ。2年程前にラゼボ王国の海で戦い、貴様は我に負けた。少しは腕が立つようになったが主には到底及ばんな」
「………」
「ちょっと、レヴィ!ジーク様のこと悪く言わないでよ!ジーク様は他の人と比べて強いんだよ?私を基準にしないで」
と言って私はジークベルト様を抱きしめ返す
「フローラ…」
「ふんっ。我は事実を言ったまでだ」
「レヴィ、姫君は我ら伝説の魔物よりも、世界の均衡を凌駕する力をお持ちだ。比べるものではないだろう」
「それもそうだな…」
「姫君なら、世界を救えるかもしれないが…」
「え?世界を救えるって何?」
私、世界を救う勇者ポジションなの?!一般の伯爵令嬢ポジションじゃなかったっけ?!
「それは…」
アストラルが話そうとした時、カイトパパにもらった通信魔道具が鳴る
『フローラ、ジークベルト殿、至急サージェント家に戻ってくれ』
「何かあったのですか、お父様」
『サコヴィナ王国の第二王子、ルーカス殿下から二人と話したいとのことだ』
「分かりました、すぐに出発しますわ」
通信魔道具を切ると、私はみんなに告げる
「帰りましょう、サージェント家に」
「緊急のようだな…」
ジークベルト様が強く抱きしめる
「ジーク様?」
「もっとフローラと二人で過ごしたかった…」
す、拗ねてる…!可愛い!
しゅんってした犬の耳が見える気がする…
「また、いつか一緒に過ごしましょうジーク様」
「そうだな…。帰ろうか、フローラ」
「ならば姫君よ、我の背中に乗るといい。公爵も特別に乗せてやろう」
「えっ、いいの?!」
「もちろんだ。馬はここに置いていっても問題ない。我の結界の中に入れば安全だからな」
「ジーク様、乗りましょう!」
「そうしようか」
大きくなったアストラルの背中に乗り、サージェント家の近くまで走ってもらった
馬だと2時間くらいかかるのに、アストラルだと1時間って…快適すぎる!
アストラルから降りると、また肩に乗れるくらいの大きさになった
「お父様、戻りました」
「早かったな、フロー、ラ…?!その肩に乗っている魔物は?!」
「あ、えっと…新しい従魔ですわ、お父様」
「新しい従魔?!……ジークベルト殿?なぜ私に教えてくれなかったのですか?誓約書では教えると…」
「お父様、ジークベルト様は悪くありません。私が言わないようにお願いしていたのです」
「それはどうしてかな?」
「…私の口からお父様に伝えたくて...ごめんなさい」
「フローラ……可愛いフローラに免じてジークベルト殿を許そう」
「それと、お父様とお兄様方に伝えないといけないことがあります。お兄様方はいますか?」
「あぁ、執務室に呼んである。行こうか」
執務室に移動し部屋の中に入ると
「「おかえり、フローラ!…1ヶ月ぶりのフローラだ」」
アシェルお兄さんとレーヴィお兄さんが抱きついてきました。びっくりした…
「ただいま戻りました、アシェルお兄様にレーヴィお兄様」
「アシェル、レーヴィ。フローラが私たちに伝えたいことがあるらしい。一旦離れなさい」
「…何かな?フローラ」
レーヴィお兄さんが私に聞く。
……フローラの家族に私が魔法を使えるようになったって言うの緊張するな…
『姫君のご家族なら大丈夫だろう』
「私…魔法が使えるようになりました」
「「………は?」」
あ、3人とも声が揃った
「…フローラ、魔法が使えるようになったって、本当に?」
「はい…使えるようになったと言っても火属性だけですけど」
「「……火属性」」
と3人が呟いた次の瞬間、急にアシェルお兄さんに抱きしめられた
「俺と同じ火属性だなんてこんなに嬉しいことはないよ、フローラ!!」
「く、苦しい…」
「アシェル殿、私の婚約者を強く抱きしめないでもらいたい」
ジークベルト様、私のってすごく強調したね
『公爵の独占欲だと思うぞ、姫君』
「ジークベルト殿、貴方の婚約者である前にフローラは俺の妹でもある。それに俺はこの婚約を認めてないからな」
「………」
「アシェルお兄様…」
「…そんなに認めて欲しいなら俺と勝負をしろ、ジークベルト殿」
「え?」
いきなり何言い出してるのアシェルお兄さん?!
「勝負、ですか?」
「あぁ、どちらが先にフローラに魔物の素材を持ってこれるかの勝負だ。ハンデは無しでいい」
「……良いでしょう。私が勝てばフローラ嬢との婚約を認めていただけるのですね?」
「もちろん」
「では、勝負しましょうか」
「えっと、二人とも…?」
「フローラ、もちろん俺を応援してくれるよな?」
「フローラ嬢、私を応援してくれるか?」
「いや、その……」
アシェルお兄さんに抱きしめられたまま、負けられない男の勝負が始まるのだった…って!なんでこうなるの!!
次回!兄アシェルVS婚約者ジークベルトの負けられない男の戦い。
なんでこうなったのかな?
『我にも分からん』
『姫君はどちらを応援するのだ?』
んー…強いて言うならジークベルト様かなぁ
『兄が悲しむぞ』
だって、この婚約を認めてもらわないとジークベルト様に好きって言えないし…
『自覚した途端、素直になるのだな』
それは言わないで!
第21話、お読みいただきありがとうございました!
いや〜、優月ちゃん、ついに恋心を自覚してしまいましたね!
そして、それ以上に衝撃的なチート能力の全貌(全属性・無詠唱・魔力∞)をジークベルト様にカミングアウト!
ジークベルト様の「言葉を失うとはまさにこの事」に、私も全力で同意です(笑)。
フローラ(優月)、どんどん平穏から遠ざかっていきますね! 「世界を救う勇者ポジション」という謎のフラグも立ちましたが、どうなることやら……
そしてラストは、過保護なアシェルお兄様がまさかの「魔物素材集め勝負」を仕掛けるというカオスな展開に!
【読者様にお伺いします!】
優月ちゃんの全能力を知ったジークベルト様の反応、どうでしたか?
次回の「兄VS婚約者」の勝負、あなたはどちらを応援しますか?
感想や評価(★マーク)をいただけると、今後の執筆の大きな力になります!
次回は、負けられない男たちの戦いが始まります!お楽しみに!




