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回復魔法

祝6/27に25000pv突破!皆様のおかげです。

本当にありがとうございます!

連続投稿4日目です。

本日で連続投稿は終わり、次回の投稿は、3日後の7/2になります。

これからもよろしくお願いします!

.



ステージの傍、観客からはカーテンで隠れている場所で待機となった。

ハンナの発表が始まる。


「次の発表は、ハンナ・エッグ子爵令嬢です。よろしくお願いします。」


「ご紹介に預かりました。ハンナ・エッグと申しますわ。私の鑑定魔法は今まで簡単なことしかわかりませんでしたの。しかし、その結果は漠然としたイメージからきているということがわかりましたわ。」


ハンナは、指し棒で、模造紙の太文字で書いてある具体的なイメージの部分を指す。


「具体的なイメージをすること、それが魔法にとってとても重要である。その事は学園でも十分に習って理解していて、自分でも実戦している気になっていましたの。しかし、友人の一言で価値観がガラリと変わりましたわ。」


ハンナは、模造紙の表を指した。

そこには、ピンククオーツを鑑定したときの項目が書いてある。


「これは一礼ですが、ピンククオーツでできたイヤリングの鑑定となります。この様に知りたい事を先に考えてから、その項目について知りたいと鑑定してみたらと友人に言われたのですわ。そして、実践するとその項目全てを詳細に知ることができましたの。この事は、王宮の鑑定士の方にも実践していただき、確認が取れています。」


ハンナが模造紙の犯罪の発見に貢献と書かれた部分を指す。


「ここに書いてあります通り、具体的なイメージをして鑑定をする事で、犯罪の事実を発見することができましたわ。この様に、鑑定魔法のポテンシャルは計り知れず、まだまだ成長させる事のできる魔法だと確信いたしました。これからも頑張って育てていきますわ。皆さんもご自分の魔法で出来ることを増やす事ができるかもしれません。ぜひ、私の体験が参考になればと思います。ご清聴ありがとうございました。」


ハンナが礼をして、こちらの方にはけてくる。

すれ違う時に笑顔で微笑みあった。


「とても良かったわ。」


「ありがとうございます。ハナさんも頑張って下さい。」


「ええ!」


次は私の番だ。

ステージの真ん中に立つと一礼した。

模造紙や机、花瓶にはいった枯れた草花などは、先生達が持って来てくれる。


「次はハナ・ナコッタ・ホイップ名誉男爵です。真の聖女の勲章を授与された回復魔法のスペシャリストです。よろしくお願いします。」


「ご紹介に預かりました。ハナ・ナコッタ・ホイップですわ。私の魔法の回復魔法について発表致します。」


私は枯れた草花を手に取る。

手元が白く輝くと草花は元気を取り戻し、青々としていた。

会場から感心した様な声が上がる。


「この様に元気を取り戻す事ができます。植物だけではなくて、動物や人間にも効果がありますわ。どなたかご協力をお願いします。怪我をされている方はいらっしゃいますか?」


「はい。」


観客席から、ピンと手が伸びる。


「ホイップ名誉男爵、私に回復魔法を使って頂けませんか?」


その女性には顔に大きなあざがあった。


「勿論ですわ。ぜひ、ステージにいらして下さい。」


女性は、ステージに向かってまっすぐ歩いてくる。

白く長いドレスが、歩くたびに揺れる。

背筋は伸び、歩く姿がとても優雅だ。

ステージの上に上がると、カーテシーをされる。


「サーシャ・ムードと申しますわ。是非、真の聖女様の回復魔法をかけて頂きたかったの。よろしくお願い致します。」


会場がざわめいた。


「ムード伯爵の娘?あのうちには息子しかいなかったはずだが……。」


「あの顔のあざは、一体どうされたのかしら?」


ざわめきは収まらない。

私は少し大きい声を出す。


「ハナ・ナコッタ・ホイップですわ。身体を楽にして下さい。回復魔法をかけますね。」


サーシャに手をかざすと、彼女の身体全体が白くひかる。

光が収まるとすべすべとした美しい肌が現れる。


「無事に終わりましたわ。」


「ありがとうございます。」


彼女に手鏡を渡す。


「ああ、あざのない顔はこうでしたの。生まれつきのあざだったから、自分の顔を知らなかったわ。私の顔は、亡くなった母にそっくりでしたのね。」


ポタリと目から涙が溢れる。


「聖女様、ありがとうございます。」


「いえ。治って良かったですわね。」


私は観客の方に手を広げる。


「この様に、回復魔法はケガを治すことができます。」


観客からは盛大な拍手が鳴り響く。


「回復魔法を使うと魔力切れを起こし、意識を失うことがあるので、これからも頑張って魔力量を上げていきますわ。」


私は、礼をする。

そして、泣いているサーシャの手を取るとゆっくりステージを後にした。

会場を抜けて、外のベンチに座る。


「気分はいかがですか?」


「勿論、最高よ。」


「良かったですわ。失礼しますね。」


私は持っていたハンカチで、サーシャの顔を拭いた。


「ありがとう。」


「今日は、ご家族の方が一緒にいますか?」


「いいえ。実は、家庭教師の先生にこっそり連れて来て頂いたの。」


「そうでしたの。」


「ええ、生まれつきのあざのせいで、私はムード伯爵領では生まれなかった事になっているのです。だから、外出は今日が生まれて初めてでしたの。何もかも初めてで、学園もこの様になっているのを初めて知りましたわ。」


「生まれて初めての外出?それに生まれなかったことって。大変な人生でしたのね?」


顔のあざで生まれなかった事にされるって壮絶すぎない?


「ええ。本当は今日、顔も知らないお爺さんの所に嫁ぐ予定だったのを家庭教師の先生が一緒に駆け落ちしてくださったの。今はとても幸せよ。しかも、顔のあざまで治るなんて。今日は私の人生で1番嬉しい日だわ。」


サーシャはにっこり笑った。


「それでは、家庭教師の先生と結婚されるのですか。おめでとうございます。」


「ええ。ありがとうございます。彼と一緒にこれから頑張りますわ。それでは、失礼致します。あざの事、本当にありがとうございました。」


彼女はベンチから立ち上がると、遠くからこちらに向かって来ている男性に向かって歩って行った。

2人の距離が縮まると、男性は彼女を抱き上げてくるくると回った。

とても幸せそうだ。

私は2人の姿が消えるまで見送ると会場に戻った。


.

読んで頂き、ありがとうございます!

本日で連続投稿は終わりになります。

ただありがたい事に6/27に祝25000pvを達成したので、また何か考えたいと思っています。

作者が7月の中旬に検査入院をするので、それが終わった後になるかと思います。

次回の投稿は、7/2です。

これからもよろしくお願いします。

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