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スピード解決

連続投稿1日目です。

よろしくお願いします。

.



「お嬢様、おはようございます。今日はとても良いお天気ですわ。」


「おはよう、ナサリー。」


開いたカーテンの外には、雲一つない青空。

昨日の夜は大雨だったけれど、今日はとても良い天気だ。


「こちらは、ミルクティーですわ。」


「今日の紅茶は、ムード伯爵領の紅茶、赤獅子ね。」


「正解でございます。香り高い茶葉が手に入ったので、そちらに致しました。」


味も香りも濃厚。

ただ、ミルクもたっぷりといれてあるから、優しい。


「美味しいわ。」


「お嬢様に喜んで頂けると嬉しいですわ。」


紅茶を飲み終わったら、朝食を食べ、寝癖などを整えて、手早く制服に着替える。


「ナサリーいってきます!」


「お嬢様、いってらっしゃいませ。」


今日は、いつもより早く寮をでた。

向かう先は、保健室だ。


コンコンコン。


「ラメラ先生、いらっしゃいますか?」


「はーい。どうぞ。」


入室すると、椅子に座った先生がこちらを振り返った。

眼鏡をかけている所を初めて見た。


「あら、聖女ちゃんじゃない?おはよう。こんなに朝早くからどうしたの?」


「おはようございます。ラメラ先生にお願いがあります。明日から3日間、お昼休みに先生の助手になりたいんです。こちらに来て怪我人が来たら、回復魔法を使っても良いですか?」


「回復魔法を使って、私の助手になりたいの?」


「はい。研究発表会の為に回復魔法を使いたいんです。」


「そういう事ね。勿論大丈夫よ。むしろ、無料で回復魔法を使ってもらえるなんて、明日から3日間の怪我人は、ある意味ラッキーね。」


先生は顎に両手をあてて、微笑む。


「保健室はその日によって利用者にばらつきはあるけれど、3日間やるなら、擦り傷の患者も1人くらいは来るでしょう。」


「ありがとうございます。頑張ります。」


「今日からじゃなくて、明日からね?」


「はい。よろしくお願いします。」


「待っているわ。」


ラメラ先生の笑顔に見送られながら、保健室を後にする。

廊下に出ると、ハンレーと丁度出会った。


「ハナ、怪我したのか?」


「いえ、明日から3日間、研究の為に保健室で回復魔法を使わせて貰おうと思って尋ねただけですわ。」


「そうか。回復魔法を使うには、怪我人が必要だからな。ハナが怪我してないなら、それでいい。」


ハンレーが私の頭をわしゃわしゃ撫でる。


「ハンレー、髪の毛がぐしゃぐしゃになっちゃいます。」


「大丈夫だ。それでも可愛いから。」


ハンレーの顔を見ると優しく笑っていた。


「もう、直すの大変なんですよ。」


可愛いって言われたのが嬉しくて、余り強くいえなかった。


「そうだ。王宮から返事の手紙の返事がきた。ベルとハンナが登校していたら、授業の前にこのまま話がある。」


「わかりました。教室にいたら、呼んできますね。」


「ああ。急ぎでは無くなったから、別に昼休みとかでも良い。授業がはじまるようならそちらを優先する。」


「わかりましたわ。」


教室につくと扉を開ける。

ベルもハンナもエスタも既に教室にいて自分の席で話しているようだった。


「ベルとハンナ。リッツ先生が手紙の事で呼んでいるわ。」


「わかった。教室の外にいるんだね。今、行くよ。」


「私も向かいますわ。」


「私はここで待っていた方がいいのかしら?」


「エスタも話を知っているから、別に一緒にいても良いんじゃないかしら。私も行くつもりだから。」


「良かった。それなら、私もハナに着いていくわ。」


4人で教室をでる。


「2人とも教室にいたな。まだ授業まで5分以上あるから、簡単に説明したい。こっちの空き教室で話すから着いてこい。」


夏休み前に、0点のテストの話をした空き教室に着くと、ハンレーが扉を閉めた。


「まずハンナの鑑定魔法で分かった事だが、全て本当だった事が分かった。王宮の鑑定魔法の使い手でも同じ結果がでた。それからヒロシ=イシイは、昨日の夜に無事に保護されたから安心すると良い。」


「良かったですわ。誘拐されていた方見つかったのですね。」


「ああ。少し痩せ気味だが、怪我もなく健康らしい。問題は、リンクル男爵の方だ。宝石の盗み以外にも色々やっていたようだ。偽物の宝石の内側に穴を開けて、そこに薬を入れて販売していたり、宝石の材料になる魔物を許可なく飼育していたらしい。リンクル男爵家は取り潰しの上処刑となった。ピンククオーツの鉱山は無事にラプン男爵領のものとなり、リンクル男爵領の財産から賠償金も支払われた。」


「展開が早すぎないですか?」


ハンレーが苦い顔をする。


「国王陛下と王妃殿下と宰相のシュマロ公爵、騎士団長のスミー子爵が直々に乗り込んだそうだ。2時間でスピード解決したらしい。」


「「「「え?」」」」


「気持ちは良くわかる。あの人達は自分達の立場をもっと理解して欲しいんだが……。」


ハンレーは深いため息をついた。

騎士団長が現場に乗り込むのはわかるけれど、国王陛下と王妃殿下と宰相って、現場にいかない人達だよね。


「とりあえず、完璧に時間は解決したから、安心して良い。後、誰が解決したかの部分だけ緘口令が引かれたから、この場の4人以外には言うなよ?」


「わかりましたわ。」


ハンレーはうなづくと、教室のドアを開けた。


「さあ、授業を始める。教室に戻るぞ。」


ハンレーが疲れた様に見えたのが印象的だった。

王様もミコさんもルドルフも無茶しすぎだと感じる。

騎士団長は知らないけれど、一緒についていってしまう行動力の塊の人か、3人を止めきれず仕方なく一緒にいった苦労人のどちらかだろうな。

後者だったら、可哀想に。




.

読んで頂きありがとうございます。

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明日もよろしくお願いします!

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