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第二王子

大型連休特別投稿中です。

5/2から毎日投稿しているので、お気をつけください。

今の所、毎日投稿できています。

このペースで5/7までいけたら良いです。

作者が力尽きたらすみません。

よろしくお願いします。

.



扉をノックする音がする。

侍女が扉を開けると、金髪に碧眼の少年が現れた。

顎の周りで切り揃えられたショートボブの髪型で見るからに王子様といった見た目だ。


「ベル。皆さん。おはようございます。」


昨日意識が朦朧として、うめき声をあげていたとは、思えないほどの回復振りだ。

爽やかなはっきりとした話し方をしている。

立ち姿もピンとしていて、両足もしっかり回復しているみたいだし、良かった。


「おはよう、フェーン。みんなに紹介するね。こちら、レッツェル王国第二王子で私の婚約者のフェーン=レッツェルだよ。フェーンに、私の友達の3人を紹介するね。まずは、フェーンに回復魔法をかけたハナ=ナコッタ=ホイップ名誉男爵。」


「おはようございます。ハナ=ナコッタ=ホイップですわ。よろしくお願い致します。」


「次に、ゲッティ皇国大使夫妻の対応をしたエスタロッサ=アンダギー子爵令嬢。」


「おはようございます。お会いできて光栄ですわ。ご紹介に預かりました。エスタロッサ=アンダギーと申します。これからも、よろしくお願い致します。」


「最後に、服や馬車を手配してくれたハンナ=エッグ子爵令嬢よ。」


「おはようございます。お会いできて光栄ですわ。ハンナ=エッグと申します。私達3人とも、ベルさんとは、魔法学園の同級生で友達ですわ。よろしくお願い致します。」


3人がカーテシーをする。


「ありがとうございます。頭を上げて下さい。私はまだ、14歳の子供ですし、もう少し楽にお話してくれると嬉しいです。ベル位で、大丈夫ですよ。」


「そういう訳にはいかないですわ。」


「ハンナは敬語が癖みたいなものだから良いとして、エスタやハナは無理しなくていいと思うよ。フェーンは王子様だから、気軽に話せる人が少なくて悲しんでるから。気楽に話した方が喜ばれるよ。」


「そうです。気楽に話をして貰えると嬉しいです。」


フェーンは、にっこりと王子様スマイル。

ベルと同じ位、身長は成長しているが、顔がまだ幼く、笑うと年下の可愛い男の子といった感じだ。


「わかりましたわ。大人や他の貴族の方がいない前では、気楽な話し方をしますね。」


「ハナ、凄いわ。私ちゃんと出来るかしら。フェーン殿下。私も出来るだけ、砕けた話し方をさせていただきますね。」


「エスタ、まだ固いよ。」


「無理言わないでよ。自分の国の王子様なのよ。急に砕けて話せないわ。」


「私は友達に対しても、この話し方なので気にしないで下さいね。」


「ハンナが狡いわ。」


私も話し方は難しいけれど、エスタが本当に悩んでいるから少し面白い。

きっと、多少砕ければ良いよね。


「まあまあ。それより、フェーンの体調が大分良くなった様で、安心したよ。一応、昨日は目覚めるまで側にいたけれど、少ししか話せなかったからさ。」


「もう夜遅かったからね。実は、事故が起きた後のことは、よく覚えていないんだ。気づいたら、温かな光に包まれて、その後意識が無くなって、目が覚めたら、自分の部屋のベッドにいたから。目覚めて、側にいたベルが急に泣き出したから、驚いたんだよ。」


「死ぬかと思っていたから、フェーンの目が覚めて安心したよ。そうしたら、涙が出てきたんだ。驚かれて、逆にこっちがびっくりしたよ。」


私もベルの立場だったら、泣いただろうな。


「大変な事故でしたから、覚えていない方が良いと思うわ。本当に元気になられて良かった。」


「ホイップ名誉男爵。貴女のお陰だと聞きました。一歩間違えたら、死んでいたかもしれない。ベルと貴女が友達だった事、事故の現場のすぐ近くにいた事、とても幸運だったと思います。」


フェーンは、私に深々と頭を下げた。


「やめて下さい。本当に偶然ですもの。フェーン殿下が助かって良かった。それだけですわ。」


「この話、堂々巡りになりそうだから、フェーンも今ので終わりでいいんじゃないかな。頭をずっと下げられても、ハナが困っちゃうだろうから。」


「そうです。今ので、お礼はきちんと受け取りました。」


ベル、ナイスよ。


「ありがとうございます。後で何か、感謝の贈り物だけさせて下さい。ホイップ名誉男爵の欲しそうなものをベルと一緒に選びますから。」


「そうだね。楽しそうだから、それは一緒に選んで送ろうか。ハナ、楽しみにしててね。」


「え?いいのかな?」


「ハナさん、ここは素直に貰っておいたらいいと思いますわ。」


「命の恩人な訳だし、本当にただのお礼だけというのも、立場上難しいだろうから。」


「じゃあ、ありがとうございます。」


贈り物、何をくれるのかしら。

ベルが一緒に選んでくれるなら、私の好みに合ったものが贈られそうだけれど。


「受け取って貰えそうで良かったです。ちゃんとお礼が出来て良かった。そうだ。皆さん、この後は何かご予定はありますか?」


「ないよ。もう帰るだけだから。」


「そうですわね。これからうちの領地に向かうのも時間がなくて難しいでしょうし、何も無ければ、それぞれ家に帰るだけですわね。」


私もこの後解散なら、家の馬車を呼んで、帰るだけだろうな。


「それは、丁度良かったです。今日はこれから、コンサートが王宮で開催されるのですが、一緒にいかがですか?」


「王宮主催のコンサートですか?」


学園祭も面白かったし、王宮で開催されるプロのコンサート、興味あるな。


「ええ。今、母上がハマっている音楽家達を集めて、コンサートを開くんです。収益は全て孤児院に寄付されるので、慈善活動の一つでもありますね。皆さんの知っている方ですと、魔法学園の学園祭で国歌を歌ったグリーン男爵令嬢も参加しますよ。」


「いいなら、是非参加したいです。学園祭も面白かったから、プロのコンサートに興味があって、先輩の国歌もかなりレベルが高かったから、もう一度聴いてみたいです。」


「王妃殿下お気に入りの音楽家のコンサートなんて、今日を逃したら、2度と行けないでしょうし、私も行きたいわ。」


「実は私、グリーン男爵令嬢と領地が近くて友達ですの。私も是非、行きたいですわ。」


「みんなが行くなら、私も行くよ。」


「良かった。実は、皆さんの分の席、もうご用意してあるんです。早速、ご案内しますね。」


部屋を出て、長い廊下を歩き、王宮の外へ向かう。

フェーンが先頭で歩いたら、廊下を通る人達が皆、廊下の隅に寄り、頭を下げていた。

王子様って凄い。

王宮の玄関へ着くと、待っていた馬車に乗る。

この馬車、椅子の形に大型のクッションが置かれていて揺れが殆どない。

快適に馬車で過ごしながら、コンサート会場についた。

二階建ての広そうな建物だ。

王宮の敷地内にこれだけ広いコンサートホールがあるなんて、流石だわ。

あれ、玄関で誰かが待っている。

フェーンが手を振ると、こちらに近寄ってきた。


.

読んで頂きありがとうございます。

これからもよろしくお願いします!

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