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ご令嬢

よろしくお願いします!


すみません、前話でアリッサの名前が、リンカとなってしまった所をアリッサに変更させていただきました。

ポンコツで申し訳ありません。(2023/2/24/0時48分)

.


カラーン。カラーン。


授業終了の鐘が鳴る。


「うーん。やっぱり、歴史は難しいわ。」


「ハナったら、あんなに真面目にノートを取っていたのに、ハンレー先生に当てられたら、だいぶ慌てていたものね。」


「エスタ、助けてくれてありがとう。とても助かったわ。」


エスタは、ハンレーの質問の答えをノートに書いて、私に見せてくれたのだ。

お陰で、わかりませんと言わずに済んだ。


「この借りは、算数で返すわ。」


「期待してるわね。」


ベルとハンナが、こっちに来た。


「ハナ、今良い?アリッサ様とガーベラ様、それと伯爵令嬢の方々に挨拶しようと思って。」


「勿論よ。」


「良かったですわ。一緒に来てくださいね。」


一番前の机には、二人座っていて、三人が立っていた。


「初めまして、公爵令嬢のアリッサ=クーヘンですわ。回復魔法が使えるんですってね。」


王太子ショーンの攻略者で、そのルートになると悪役令嬢としてヒロインに関わってくる。

銀髪に吊り目の碧眼、縦ロールの絶世の美女。

出るところが出て、引っ込むところが引っ込んだ女性らしい身体つきの令嬢だ。

胸やお尻の丸みが悩ましく、男性から好かれる容姿だ。

羨ましい。


「初めまして、侯爵令嬢のガーベラ=リッシュですわ。聖女なんて、久しぶりですわね。」


宰相の息子ライの婚約者で、そのルートになると悪役令嬢としてヒロインに関わってくる。

金色の瞳に、赤髪をシニヨンにした美人だ。

背は高くすらっとしていて、前世のモデルの様だ。

背は全然違うが、非常にスレンダーな所は、今の私に似ている。


「初めまして、伯爵令嬢のアンナ=ニライスですわ。とっても珍しいですものね。」


水色の瞳で、水色の髪をツインテールにしている美少女。

背は低く、童顔で小学生くらいに見える。


「初めまして、伯爵令嬢のウタナ=ニライスですわ。双子と同じくらいの珍しさですね。」


アンナの瞳と髪をピンクにしたら、ウタナになる。

これだけそっくりなら、きっと双子だろう。


「初めまして、伯爵令嬢のリリア=バームですわ。ぜひ、仲良くしたいですわ。」


茶髪に緑の瞳をした、笑顔が柔らかな少女だ。

どうやら、座っている二人がアリッサとガーベラで、立っているのが、伯爵令嬢達らしい。


「初めまして、男爵令嬢のハナ=ナコッタです。皆様、よろしくお願い致します。」


カーテシーを行おうとして、またお辞儀に変える。


「よろしくね。ただ今のは、いけないわ。自分で気づかれたみたいだけれど、その短いスカートでカーテシーをしたら、下着が見えてしまうもの。殿方も動揺してしまうから、お辞儀で大丈夫よ。」


「アリッサ様、申し訳ありません。気をつけます。」


これが、悪役令嬢からの注意というやつか。

でも、下着見えるのは嫌だから、本当に気をつけないと。

安い女だとは、思われたくない。


「良いのよ。皆さん、一度は、やりそうになるから。これからは、同じクラスメイトだし、仲良くしましょうね。」


悪役令嬢が邪魔しないで、仲良くしてくれるのが本当だったら、攻略も楽なんだけどな。


「ありがとうございます。」


「皆様、ハナさんに学園を案内しようと思います。失礼しますわ。」


「失礼します。」


お辞儀をして、その場を去る。

四人で、教室を出て、階段の方に歩く。


「ここが、一年と二年の一組がよく使う男子トイレと女子トイレよ。学年毎に六クラスが横並びにあって、両端と真ん中に三箇所トイレがあるの。二階はそんな感じよ。」


「き、緊張した。」


綺麗に磨かれた洗面台に、手をつく。


「アリッサ様達の事?独特な緊張感があるわよね。」


「やっぱり、気品がありすぎるからかしら。」


「確かに素敵な方達だった。」


「そうかな?別に普通じゃないか?」


「ベルは、お祖母様が元王女で、高位貴族に慣れてるから、そう思うだけよ。ラプン男爵は、特殊なんだから。」


「特殊なの?」


「そうですわ。元王女のベルのお祖母様が大恋愛の末、ニャニャ伯爵に嫁いで、さらにベルのお母様が大恋愛の末、ラプン男爵に嫁いだんですから。男爵家で、こんなに王族と血が近いなんて滅多にないのよ。」


「血の濃さなら、公爵令嬢にも負けてないでしょうからね。」


「そうか?ラプン男爵としては、普通のつもりなんだけどな。」


「しかも、ベルさんの魔法は、また特殊ですから、王族から結婚の申込があっても、皆様、驚かなかったですからね。」


「そうね。結界なんて、凄い魔法。誰も放っておかないわ。」


「魔物を王都にいれないなんて、この国に有益すぎる魔法ですからね。」


「ベルは、婚約してるの?」


「そうよ。しかも、第二王子よ。将来は、公爵夫人で安泰なの。」


「勝手に決めるなよ。まだ、話はまとまってない。」


「秒読みだそうですよ。歳は三つ下ですが、噂ですと、身長はすくすく伸びて、もうベルさんより大きいのでしょう?しかも剣の腕前も凄いとお聞きしますし。」


「フェーンは、弟みたいなやつだから、婚約者なんて思った事がなかったんだ。」


「それは、ベルだけよ。フェーン王子様の初恋は、ベルだって、王城で噂になってたってお兄様が言ってたもの。」


「なんで、そんな事知ってるの。」


「外交官の情報収集能力を、舐めてもらっては困るわ。」


「とにかく、ベルが凄いことは良くわかったわ。でも、エスタもハンナも凄いじゃない。」


「そうだよ。うちは、何の取り柄もない男爵だけど、エスタの家は、代々成果をあげてる外交官だし、ハンナの家も大きい商会じゃないか。」


「外交官と言っても、子爵だからね。大したことは、ないわ。ただ、私の魔法は翻訳だったから、女だけど、外交官になれそうで良かったと思っているの。私の活躍で、お兄様の代で伯爵にするのが夢よ。」


「私の家も子爵ですし、元は一般国民からの成り上がりの家系ですから。ただ、私の叔母がニンカ男爵に嫁いだ縁で、国内三大茶葉の一つ、幻の茶葉を国内に大きく流通させることに成功しました。茶葉を含め、色々王妃様にご贔屓にして頂いてますし、もう少しで伯爵に手が届くかもしれないという噂もあります。私の魔法の鑑定で、さらに成り上がりたい気持ちは、ゼロではありませんね。」


「二人とも上昇志向が凄いね。」


「うん。二人とも、夢に向かって動いているんだ。」


「ハナだって、凄いじゃない。回復魔法の持ち主でしょ。テストにでてたパトリシア様振りだって、騒がれてたもの。」


「ああ、魔法を何個も持ってたパトリシア様ね。」


「そうよ。回復魔法は貴重なんだから。残念ね。アリッサ様に、お兄様か、弟様がいらっしゃれば、ハナもすぐに婚約していたでしょうに。」


「え?どうして?」


「アリッサ様の公爵家は、レッツェル王国が出来た時からある古い公爵家で、代々レッツェル王国の魔法教会の枢機卿を担当しているの。何人もの聖女が公爵家に嫁いでいるわ。アリッサ様のお祖母様も聖女で、回復魔法持ちよ。」


「アリッサ様は、王妃様になるから、クーヘン家は妹様が婿を取って継ぐそうよ。」


「やっぱりそうなのね。ハナ、残念ね。公爵夫人で安泰だったのに。」


「そ、そうね。話が大きすぎて、ついていけてないわ。」


「この学園に来たからには、大きいことに慣れないとよ。頑張りましょ。」


「私、お手洗いに行ってくるわ。」


「私も行く。」


「それでは、私達はここで身だしなみを整えていますから、二人はいってらっしゃいませ。」


「前髪を直したかったんだよね。」


トイレに入ると洋式だった。

男爵家のは和式だったから、凄く助かる。

便器もピカピカだ。

用を足して、外に出る。

すぐに、ベルも出て来た。

手を洗って、ハンカチで拭く。


「一階や食堂、図書館の紹介は、お昼休みの時にしましょう。もう3時間目が始まってしまいますから。」


「そうね、授業に遅れたら、大変だものね。」


「三、四時間目は、魔法の時間だから、このままグラウンドに行くわ。」


「校舎から出て、左に行けばすぐつくよ。」


三人の案内に従って、グラウンドに出て行った。


.

攻略者達がでてこない?

すみません、次から出て来ます。

読んでいただき、ありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

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