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帝国対策

 対する首長国側。彼らも負けられない一戦である。帝国の動きをつぶさに観察していた。もちろん、兵が左右に展開したことも把握している。


 中央だけであれば隘路から出てきたところを包囲して殲滅すればことが片付く。しかし、帝国はそうさせないために兵を割いたのだ。こちらも対策を練る必要がある。


 そう考えたのは首長国軍の対帝国戦線の司令官を任されたイスマイル=サシェスが頭を悩ませていた。兵を割くべきか。それとも割かないべきか。


 兵を割くメリットは敵の背後を急襲したり、別動隊の対応をしたりと枚挙に暇がない。しかし、各個撃破をされてしまう恐れもある。首長国の方が兵数では劣っているのだ。


 向こうは三万五千。こちらは二万。兵数が足りない。ならば正面の敵だけまずは撃破しようとイスマイルは考えることにする。


 陣地を構築し、正面の敵のみに集中する。陣は半月を描くように構築され、隘路から出てきた帝国軍を殲滅できるような陣地になっていた。この陣地のお陰で相手が二万でも三万でも一万の兵が居れば守り切れる。


 問題は背後や側面からの攻撃に弱いことである。つまり、それぞれ五千ずつを割いて別動隊を抑え込み、正面の部隊を叩くことが出来れば我らの勝ちなのだ。イスマイルは部下を呼ぶ。


「呼んだか、イスマイル」

「アリー=コーナー、お呼びにより参上しました」


 一人はヨハン=ハーウェイ。筋骨隆々の屈強な体躯。その肩に大きな斧を担いでいる。若くはないが経験豊富そうな将軍であった。イスマイルに気軽に声をかける。


 もう一人の名は彼が名乗った通りアリー=コーナーである。品行方正の青年というのがしっくりくる言葉だ。エリートと言って差し支えない青年である。


「二人を呼んだのは他でもない。二人にそれぞれ五千の兵を率いて帝国軍の別動隊を牽制してもらいたい」


 呼び出された二人とも既に事情は飲み込んでいた。帝国軍が三手に別れたこと。そしてそのどちらかを迎撃してもらいたいこと。それらを理解していたのである。言葉を発したのはヨハンであった。


「問題は誰がどっちに行くかだな」

「左翼に展開したのがシュティ軍、右翼に展開したのがゴードラルド軍だ。右翼は既におおよその居場所を突き止めているが左翼はどこにいるか調査中だ」


 場所がわかっているゴードラルド軍の方が与しやすいと考えるのが常道だろう。その点を考慮してヨハンがこう発言する。


「ならオレが左翼だ。アリー、お前は右翼を押さえ込んでくれ」

「かしこまりました」

「軍の編成が終わり次第、任務にあたってくれ。上限は五千名。兵員はお前たちに一任する」

「「ははっ!」」


 二人は腹から声を出して返事をすると、イスマイルの天幕から退出していった。彼らと入れ替わりに一人の兵士が入ってくる。


「ご報告申し上げます。北部の共和国との戦線ですが、徐々に押し込まれているとの報告が上がっています」

「崩れそうか?」

「現在はタミーニー砦に籠って奮戦中とのこと。首長が首都から兵を送って対処するとのことです」


 いよいよもって予断を許さなくなってきた。帝国も首長国も後には引けない。後には引けない上に、どちらも負けたら終わりである。


 イスマイルは天を仰ぐ。もとはと言えば王朝からやってきた男の口車に乗ったのが行けなかった。名前は確か、ゼペル・ベイだったとイスマイルは記憶している。


 こうなった以上、後の祭りではあるが、もしこの局面を切り抜けられたならば王朝に対し、何かしら報復の鉄槌を下そうと心に決めていたのであった。

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