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少年の努力と成果

 話は少し遡る。セルジュは何をしていたのかというと、まずは城の裏門から闇夜に紛れてこっそりと退城した。全身びしょ濡れになりながら水堀を静かに渡ると茂みに潜り込み息を潜ませる。服が乾くまで潜伏するのだ。


 そして日が昇り、服が乾いたころ。孤児のふり――というか孤児なのだが――をして王国兵に近づいた。


「あの……お仕事を下さい」

「あぁ? なんだお前は!」


 セルジュはこの問いに応えず、虚ろな目をして王国兵に更に尋ねる。


「ここに来たらお仕事を貰えるって聞いて。お仕事を下さい!」

「わかったわかった。仕事ならたくさんある。そこの天幕に行くと良い」


 王国兵が根負けしたのか、それともセルジュのみすぼらしい姿に同情したのか、あるいはその両方なのか。セルジュを天幕に行くよう指示したのだ。


 道中、何人もの王国兵に制止されるも、セルジュはその度に兵士に仕事を紹介してもらった旨を伝え許されている。そして天幕に辿り着くと、その中には汗を流し、もがき苦しんでいる兵士たちがごまんと居た。


 ある者は片足が無く、ある者は片腕が無かった。どうやらホランド将軍の最後の悪あがきに運悪くも当たってしまった兵士たちらしい。


「何だお前は! 何しに来た!」

「あの……ここに来たらお仕事を貰えるって外の兵士さんが……」


 治療に当たっている兵士に尋ねられ、セルジュは素直にそう話すと、そのまま吸い飲みを渡され、負傷兵たちに水を飲ませるよう指示される。


 どうして、誰もセルジュの出自について尋ねないのか。それは他の兵士が既に尋ねたと皆が思い込んでいるからである。そして自分がやらねばという意識の高い兵士は幸か不幸か、居ない。


 セルジュは仕事を手伝いながら辺りの様子を伺う。負傷兵の数はざっと見積もっても数千人は居た。ホランド将軍の部隊は王国兵を殺せなかったにせよ、再起不能の傷を負わせることには成功していたのだ。


 それらを看病するために兵が必要になる。どうやらセルジュと同じく稼ぎに出てきた村人も散見された。そして何よりも重要なのは王国兵が弛緩しきっていることである。


 先の戦で大勝したのだ。それで緩まないわけがない。王国兵のほとんどが帝国兵は亀のように城の中に閉じこもっているだけだと思っていた。


 セルジュは更に調べを進めていく。包囲している兵士の数は一万五千人ほど。そしてそのうち負傷者や看護に当たっているものを除くと八千人ほどである。今ならば全力で攻め掛かれば勝機はあるのだ。


 残りは未だ砦を築いているらしい。それだけを調べ上げてセルジュは城へと戻る。問題はどうやって城の中に戻るか、であった。


 ただ、そこはセルジュ。抜かりはない。既に根回し済みなのだ。二日目の夜に戻ることを自分の妹を始め、親しい友人に伝え済みなのである。


 深夜、月が姿を消す。今日は新月だ。それを狙ってセルジュは再び冷たい水の中に身を投じる。そしてゆっくりと進み、城に近づく。


 約束した通り、そこにはロープが一本、垂れ下がっていた。上からセルジュの妹が垂らしてくれたのである。それを頼りに城壁を登るセルジュ。ここで落ちれば一巻の終わりだ。


 しかし、難なく登りきるセルジュ。そして妹と抱き合った。


「お兄ちゃん!」

「アイカ!」


 ここまでは順調だ。問題はセルジュの発言がシオンに認められるかどうかである。セルジュはシオンのもとを訪ねるかどうか迷った。今は深夜だ。取り込み中だった場合、セルジュの評価が下がってしまう。


 いや、取り込み中じゃなくても就寝中だった場合、不機嫌にさせてしまうかもしれない。しかし、それでもセルジュはシオンを尋ねることを選んだ。


 それはシオンが情報の大切さを理解していると思ったからである。勇気をもってシオンの部屋のドアをノックしたセルジュ。中から声が返ってくる。


「セルジュです。只今戻りました」

「ああ、待っていたぞ。入れ」


 こうしてセルジュは無事にシオンのもとに戻ったのであった。

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