いざ、戦地へ
【東暦 一〇〇六年 二の月 三の日】
シオンは彼らを知るために二百人の兵士とともに夜を明かした。
日が昇り、シオンのもとに一人の兵士がやってくる。出陣を告げる兵士だ。シオンは予定通りカベンディッシュ子爵の配下となるらしい。
カベンディッシュ子爵は将として二千の兵を率いるようだ。そのうちの二百がシオンの部隊ということである。そしてホランド将軍と合流するのだ。シオンは孤児たちを起床させ、出陣の準備に取り掛からせる。
その間にココが戻ってきた。シオンはココから手紙を受け取り、今度はココを酒場のマスターのもとへと走らせる。傭兵が集まっていたら雇うためだ。
シオンはその間にインの手紙を読む。そこにはこう記載されていた。まず、正面切って戦うことをしないようにと。シオンは大丈夫かもしれないが、その他の兵が付いて行けないと。
これにはシオンも考えを読まれていたかと頭を掻くしかない。シオン一人であればそれも可能だが、今は将として率いることを求められているのだ。深く心に刻み込む。
そこから対応は二つに分かれていた。まだ、ラースル辺境伯の城が包囲されていない場合、その時は一緒に籠城し、時を稼ぐのが上策と記されていた。
ラースル辺境伯の城には兵糧も豊富にあり、そう簡単には落ちないとのこと。なので、もし、包囲されていない場合は合流するのが吉だとインは考えていた。
シオンもそう思う。ラースル辺境伯とは顔馴染みなのだ。その方がシオンも動きやすいというものである。他人より旧知の人間と轡を並べる方がはるかに有意義だ。
しかし、おそらく包囲されていないということは無い。今頃、総攻撃にあっているはずだ。実際、シオンのこの予感は的中していた。
ラースル辺境伯は既に包囲されているのだ。そして包囲されていた場合、無暗に突撃してはならないとインの手紙に記されていた。まずは相手の士気を下げるべきと。翻意した四貴族の領地を荒らすべきだと。
だが、四貴族も領地に兵を残しているに違いない。また、シオンが自由に作戦を選べるわけではないのだ。彼は二百を率いる将でしかないのである。
なので、このインの案は理想論である。だが、インの手紙にはしっかりと次善策も記載されていた。
もし、戦いとなった場合は右翼か左翼に布陣するようにときつく記されていた。その位置が離脱しやすいからだろう。そして挟撃されない位置取りだけ常に気を配るよう、注意して欲しいと記されていた。
成り上がりの准男爵と孤児で構成された兵士たち。鉄砲玉にされるのは目に見えている。ならば最初に右翼か左翼に陣取るのは正しい。シオンもそう判断していた。
そんなことを考えているとココが戻ってきた。何やら上機嫌である。どうやら喜ばしい報告をシオンに持ってきたようだ。
「ご主人様! マスターが百人ほどの傭兵を用意してくださいました! 一人当たり金貨一枚だそうです!」
「そうか! よくやったぞ!」
これでシオンが率いる兵は三百に膨れ上がった。たかだか金貨一枚、日本円にして十万円で命を張ると聞くと馬鹿馬鹿しく聞こえるかもしれないが、彼らにとってはその十万円が命を繋ぐお金になるのだ。
残念ながら経験豊富、実力充分の傭兵とはいかなかったが、マスターが推してきた傭兵だ。信頼はできるのだろう。年齢はやや高め、ビール腹の傭兵だ。経験が豊富そうである。
シオンとしては頭数が揃えばそれで良いのだ。即座に彼らと契約する。彼らとしても職が見つかり、喜ばしい限りなのだ。この布陣でシオンは戦に参戦する。
漆黒の旗を掲げ、カベンディッシュ子爵の軍に合流し、さらにホランド将軍の軍に合流、そして北へと赴く。いざ、戦地へ。
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