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冬支度

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 その頃のシオンはというと、領主生活を謳歌していた。馬と戯れ、羊と戯れ、土と戯れ、女性と戯れる。そして剣術の稽古にも余念はなく、貯蓄もしっかりとしていた。


 インとララは収穫から予想される税収をもとに村の整備計画を立てている。アンは羊の毛を刈り冬に備えていた。こう聞くと、家臣ばかり働かせてシオンは何もしていないように聞こえるが、実際そうだった。


 彼は正直に言うと足手まといなのだ。出来ても四則演算でインとララを手助けするくらいである。それならば何もしない方が良いと彼自身が判断したのだ。


「シオンさんにお願いがある」


 そんなシオンのもとにやってきたのはエメだ。秋の収穫が終わったというのに、一体何の用だろうか。シオンは訝しそうにエメを見ていた。


「なんだ?」

「保存食を造りたい」

「おお、良いじゃないか。何か問題があるのか?」

「試行錯誤する必要がある。失敗したら食糧がもったいない。それでも色々と試していい?」


 上目遣いに許可を得てくるエメ。シオンは一度、内側に入れた女性に弱いのだ。ノーと言いたいところだが、研究のためには失敗はつきものなのである。


「まずは既存の保存食からつくっていくのはどうだ?」


 既存の保存食。ぱっと思いつくところで干物。燻製。塩漬け。オイル漬け。砂糖漬け。酢漬け。この辺りだろうか。そして容易にできるのが砂糖漬け以外である。


「獲れたのは麦に豆、蕪にキャベツ。玉ねぎにラディッシュ。そして葡萄にベリーだったか」


 そう尋ねるとエメは首を縦に振る。シオンとしては大根や牛蒡が食べたいところではあった。しかし、無いもの強請りをしている場合ではない。あるものでなんとかしなければならないのだ。


「あー、じゃあまずは蕪とラディッシュは塩漬けと酢漬けにしよう」


 エメはコクリと頷く。漬ければひと冬は持つはずだ。それから玉ねぎも酢漬けにする。葡萄はワインとビネガーにしてキャベツは外に放置しておくことにする。


 キャベツに関してはある種の賭けだ。ただシオンがテレビで『雪の下キャベツ』を観たことがあったため、真似てみることにしたのだ。バレラードも冬には積雪する。十二の月と一の月の二か月間が根雪の時期なのだ。


 豆と麦はそのまま保存するとして問題はベリーだ。これをどう保存するべきか悩む。ドライフルーツにするべきだろうか。そして考えた結果、シオンはエメにこう告げた。


「オレとしては保存食を作るのは賛成だ。だが、研究で使って良い量はインとララの二人に確認を取ること。良いな?」

「わかった。ありがとう」


 頭を下げてテトテトと立ち去っていく。シオンは手持ち無沙汰になったので愛馬であるナットの世話に精を出すことにした。シオンはナットをブラッシングしていく。


 気持ちよくブラッシングをしていると、屋敷の中から声が聞こえてきた。インとララ、エメが言い争っているらしい。エメが大きな声を出すのは珍しいとシオンは思っていた。


 そして声が段々と大きくなり、議論が白熱してくると一人の女性が屋敷から飛び出してきた。その人物はララである。目には薄っすらと涙を浮かべていた。


「シオンさま! エメさんの暴走を止めてください!」

「落ち着け。一体何があったんだ」


 シオンは困惑しながらもララを宥める。エメにはインとララの確認を取るように伝えてあるはずだ。シオンは首を傾げながらララの言葉に耳を傾けた。


「収穫した野菜は必要分を除いて売却することが決まっているんです! この野菜の売買で商店の誘致の可否が決まるんですよ! なのにエメちゃんが研究のための野菜を寄越せって……。何ですか! やっぱりシオンさまと寝たら優遇してもらえるんですか!」

「ちょ、何言ってるんだ! 変なことは言うな。落ち着け、な? エメには無理のない範囲でと伝えてあるから!」


 シオンはララの口を塞いで屋敷に戻る。そしてインとエメの二人と合流し、双方の意見を聞くことにした。ここで頭ごなしにエメを叱ったりはしない。


 そして聞き取りを行った結果、エメがシオンの言葉を拡大解釈して作物を毟り取ろうとしていた。シオンはエメにギルティを突きつけ、ズボンとパンツを脱がす。彼女をお尻ペンペンの件に処することにしたのであった。


「さて。ちらりと聞いたんだが、商店を誘致できそうなのか?」

「そうなのです! ララちゃんの伝手で商業連合のヘイズ商会と話が進んでます!」


 インがニコニコ顔で応える。ララも鼻息荒く頷いていた。ヘイズ商会は商業連合でも大きな商会であり、会頭が商業連合の評議会も努めているという。


「そういえばララは商業連合の出身だったな」

「はい。ヘイズ商会とは取引があったので、その縁で今回の話に至りました」

「ララの家もヘイズ商会くらいだったのか?」

「いえいえ! ヘイズ商会の半分の半分の半分の半分くらいの規模です。そんなに大きいわけないじゃないですか!」


 ララが慌てて否定する。シオンは商業連合のそもそもの政治形態、統治方法を理解していなかったのである。これは良い機会だと思い、ララにその辺りの説明をお願いした。


 私のわかる範囲ですがと前置きしてからララが説明する。商業連合には国王や皇帝は存在しない。その代わりに評議会が存在しているのだ。評議員は全員で十三人。全て合議で決められる。


 もちろん評議員の大多数を占めるのは商人である。残りは軍人や政治家などだ。選出はもちろん選挙である。票田がそのままお客さま、従業員となるのである。


「成程な。貴族という概念は無いのか。領地は誰がどうやって治めているんだ?」

「全て代官が治めています。彼らはあくまで代官であり、土地は国のものです。管理は中央の行政機関が管理・決定します」


 シオンにとってこの政治体系は親しみやすいものではあったが、それ故にデメリットも理解していた。何よりもまずは決定までに時間がかかることが挙げられるだろう。


 そして衆愚政治に陥りやすい。ただ、皇帝や国王などの君主制は君主その人が暴君や暗君だった場合、一気に情勢が不安定になるリスクがある。政治形態に最適解はないのだ。


「なるほどな。じゃあ、オレは商業連合に適していないな」

「いえ、そんなことはありません。このままだと他国から引き抜きが出来ないため、行政機関内である程度の地位が確約されるんです。そういう方々は世襲代官と呼ばれたりもします」


 中央の政治にはかかわることはできないが、領内では好き勝手に振舞うことが出来る。そして中央に指定された税を納めていれば五月蠅くは言われない。それが世襲代官である。


「勉強になった。ありがとう」

「いえいえ! 商業連合のことであればいつでも聞いてください!」


 どうやらインは商業連合の商会を引き込もうとしているようだ。これに対しシオンは何も言わない。インの手腕に任せるのみである。とりあえず、彼が最重要で行わなければならないのは涙目のエメを慰めることである。

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