大乱の兆し
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【東暦 一〇〇五年 十一の月 十二の日】
この日、デュポワは登城して皇帝ロレンベルグ三世、内大臣であるブロンソン公爵の二人と新たに王朝から奪った領地の運営に関して打ち合わせを行っていた。
その話し合いは恙無く終わろうとしていた。皇帝ロレンベルグ三世が会議の終わりを告げるために「何か言い残したことは無いかね?」と二人に尋ねる。そこでデュポワは切り出した。
「実は儂のところに陳情があっての。それをお二方に相談したかったのじゃが時間は大丈夫かね?」
「手早く片付きましたからね。問題ありませんよ」
「構わん」
デュポワの問いに応えるブロンソン。ロレンベルグ三世も首肯を持って叔父であるデュポワの問いへの回答とした。デュポワが口を開く。
「ラースル辺境伯の坊主が儂のところに泣きついてきたのじゃ。自分を次期当主にしてくれと」
「何を馬鹿な! 次期当主は原則として長子。異なるにしても次期当主を決めるのは当代の当主であろう!」
ブロンソンが横槍を入れる。デュポワがそれを宥め、落ち着かせてから続きを口にした。ロレンベルグ三世は静かに聞いている。跡継ぎと聞いて他人事とは思えなかったのだ。
「そうなのじゃがな。あそこは双子でどちらが長子か区別がつかん。ラースル辺境伯も決めかねているようじゃし、後押しをしてしてやろうかと。そう思っているのじゃ」
そして付け加える。声を低く、身を屈めて「ま、これは建前じゃがな」と。ブロンソンが追求する。「では、どれが本音なのですか?」と。デュポワは咳払いをしてこう述べた。
「ラースル辺境伯家を試金石にさせてもらうつもりじゃ。跡継ぎ問題で悩んでいる者がもう一人居るからの。どうなるか、よく見ておくと良い」
頭を掻くロレンベルグ三世。いくら皇帝といえど叔父には頭が上がらないようだ。いや、彼も国のために辺境伯を潰す気概のある叔父の心意気を慮ったのかもしれない。
「では、そのクリュエとやらを跡継ぎにするという勅書を渡すということか」
「左様にございます。聡明ですな、陛下は」
「嫌味にしか聞こえんぞ」
「そう思うなら世継ぎを早くお決め下され」
ロレンベルグ三世はむぅと唸った。ロレンベルグ三世としても他人事ではないのだ。強く反論は出来ない。世継ぎを決められたらどれだけ楽なことか。せめて母親が一緒ならば。そう思うロレンベルグ三世。
ブロンソンはというと、公正明大で曲がったことが嫌いな男ではあるが、心の中で辺境伯家での世継ぎ争いと皇帝の世継ぎ争いを天秤にかけていた。
その結果、辺境伯家の世継ぎ争いを間近にしてもらい、ロレンベルグ三世の目を覚まさせる方が万民の為になると考えた。彼なりの苦渋の決断であった。
「わかった。では勅書を祐筆に用意させよう」
「ありがとうございます」
三人ともが未来を予見していた。そのうちの一人、ロレンベルグ三世は楽観視していた。とはいえ皇帝の勅書だ。皆が大人しく従うだろうと。
しかし、デュポワとブロンソンは違っていた。北方は騒乱に見舞われると予想していたのだ。帝国の北部を犠牲にしてまでも皇帝陛下を諫めるつもりなのだ。
皇帝の跡継ぎ問題は皇帝であるロレンベルグ三世が毅然とした態度で跡継ぎを指名しなければならないのだ。全ての貴族に良い顔をすることはできない。これは中央集権化が為されていない証拠でもある。
貴族が力を持ち過ぎている。デュポワはそう考えていた。ブロンソンも忠実なる臣であろうと心がけている。問題は彼ら以外の貴族だ。
帝国は王朝、王国、商業連合、更には首長国と共和国に囲まれている。共和国と商業連合とは友好的な関係を築いている帝国だが、逆を言うならば王朝、王国、首長国とは敵対関係にある。
貴族を領地ごと引き抜かれたら堪ったものではない。ロレンベルグ三世はそう考えていたのだ。だが、他の二人はこの弱気が良くないと思っている。
反旗を翻した貴族は潰せば良いのだ。そうすれば領地に空きが出来るのである。他国に攻め込む大義名分も出来る。ロレンベルグ三世には覇気がないと常々思っていた。
王朝との小競り合いから戦に発展した。このまま終わるわけがない。ロレンベルグ三世は名君であり、内政には向いているのだが、交渉事や戦は不得手なのだ。つまり、数字と睨めっこしているのが好きなのである。
「話は以上で良いのか?」
「ええ。お手数をば」
ロレンベルグ三世は退出する。彼には耳の痛い話だろう。出来るのならば三人ともに帝位を継がせてあげたい。それが親心というものだ。
しかし、帝位は一つしかない。増やすには国を割るしかないのだ。それは許されない。一人っ子で競争無く世襲したロレンベルグ三世はそう思うのであった。
「さて、では我々が行うべきことを話し合いましょうか」
ブロンソンがそう言う。二人は十中八九、騒動が起きると思っているのだ。周辺諸国に付け入らせない、手早く騒動を畳むため、どのような手法を用いるのが有効的なのかを話し合うのであった。
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