鬼手を放つ
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これで毒を仕込むことはできた。後は果報を寝て待つのみである。そんなことを考えながらデスクワークに従事するシオン。
そして何日もかけて、慣れない事務作業に苦戦しながらも、書類仕事を粗方片付けたところでインがシオンに声をかけた。
「シオンさん」
「ん? なんだ?」
「そろそろ、この村にもお店を誘致したいんですけど」
そう。未だにバレラードには商店が無いのだ。なので、貨幣は宝の持ち腐れである。貨幣を使うにはオペチャム子爵領の第二の都市、レイラノッドまで足を延ばさなければならないのである。
レイラノッドに支店を置いている商会はビューレン商会とハリソン商会の二店舗である。そのどちらかから更に支店を引っ張ってきたい。インはそう考えているようだ。
「それは構わないが、どうやって店を誘致するんだ?」
「ハリソン商会にはそれなりにお金を落としていますから、支店を誘致できないか相談してみます。もし、駄目と言われたらビューレン商会に乗り換える気概で行きましょう」
ふんすふんすと鼻息荒く答えるイン。どうやら強気の交渉を行うつもりのようだ。シオンはそれを窘める。失敗したときのリスクが大きすぎるからだ。
「あまり無理はし過ぎないように。失敗して取引してもらえなくなることの方が大事だぞ。それともなんだ。帝国からではなく商業連合から商会を誘致するか?」
あくまでも冗談でそう述べるシオン。しかし、インははっとした表情をして考え込む。そしてぽつりとこう呟いた。「その手がありましたか」と。
「あまり本気にするんじゃないぞ。まずは国内からの誘致だ」
「しかし、こうも考えられますよ。『商業連合の情報も手に入れることが出来る』と」
「むむむ、それは魅力的な提案だな」
結局、結論を出せなかったシオンはインに一任することにした。彼女ならば上手く誘致してくれるだろうと。もし、失敗したとしてもこの村に魅力が足りなかっただけだと割り切ることにした。
インは誘致、エメは次の農地計画を村長のベンと話し合っていた。ララは次年度の予算計画を立て、アンがシオンが買い取った家畜の世話をする。
アレンたちはコラリーたち傭兵団と一緒に訓練している。その兵士なのだが誰から噂を聞いたのか従軍して略奪して帰ってきたという話を聞いて人数が十人ばかし増加した。これで四十人である。
シオンは屋敷の裏手に回って木陰に寝そべる。ああ、長閑だ。色んなことを忘れてしまいそうなくらいに。傭兵だった頃が既に懐かしい。
転移元の両親はどうしているだろうか。これから自分はどうなるのか。そんな一切合切を忘れそうになる。
微睡み、瞼が重くなってくる。そんなシオンの腹部に鈍い衝撃が走った。驚いて目を開けるとそこにはココが飛び乗っていたのだ。
「ぐふっ」
油断していたとはいえ、こうも簡単に腹上に近寄らせるとは。シオンは気が緩んでいたことを反省しながらも、ココに報告を求めた。
「ココ、首尾はどうだ?」
「上々だと思います。そのうち、ご主人に連絡が入ると思いますよ」
「そうか、よくやった」
頭を撫でる。汗のようなすえた匂いがしたので、ココを風呂場に突っ込み、ジナに任せることにした。ジナはシオンに来客が来ていると述べ、風呂場へと消えていった。
「来客?」
シオンは心当たりがなかったのだが、取り合えず応接間に向かう。するとそこにはクリュエが貧乏ゆすりをしながらシオンの到着を今や遅しと待っていた。そしてシオンに気が付くクリュエ。
「お、おおお、おいシオン! どっちだ! どっちだったんだ!?」
シオンに掴みかかろうとするクリュエ。しかし、シオンは叩き込みの要領でクリュエの突進を難なく躱す。そして落ち着くよう、クリュエに諭すように伝えた。
「慌てないでくださいよ、お坊ちゃん。ご当主様はまだ何も決めていないそうです」
そう言ってからシオンは手紙を取りに執務室に戻り、その手紙をクリュエに手渡した。クリュエは手紙を余すところなく眺め、それから安堵の溜息を吐く。
「よ、良かった……」
「なにも良くはありませんよ。ルリュエに転ぶ可能性も大いに残されてるということですから。この辺りで仕掛けるべきでは?」
「仕掛けるって……どうやって」
「皇帝陛下に働きかけましょう。幸いなことに私はシュティ大公家に伝手がございます。それを用いて皇帝陛下に働きかけるのです。ちなみに坊ちゃんご自身は如何ほどの資産をお持ちで?」
皇帝陛下を動かすのにもタダというわけにはいかない。それなりのお金が必要になってくるのだ。しかし、逆に言えば辺境伯家なのだ。当主の座に就いたら払うでも通用しなくもない。
「そんなに多くは無い。大金貨二十枚程度だ」
日本円にして二千万円しか所持していないとクリュエは言う。少し前のシオンであれば何を言ってるんだとクリュエを叱っていただろうが、今であればその逆。全く足りないと思っている。
「手付として大金貨を十枚払う。そして成功した暁には大金貨を百枚。それくらいはいけるでしょう?」
「ま、まあ当主の座を継いだ後ならば出せなくはないと思う」
「なら、その線で行きましょう。肝心なのは当主の座を継ぐことです」
騙しているみたいで心苦しい気もしているシオンではあるが、事実を述べているだけである。まずは当主の座を継がなければ何もできないのだ。
「可能ならばオペチャム子爵と私の陳情の手紙も携帯していくべきでしょう。ラースル閣下が跡継ぎを決めかねて非常に難儀していると」
難儀することは無いのだが、跡継ぎが定まらないと不便なのは確かだ。そして皇帝家も耳が痛い話だろう。現在進行形で跡継ぎ問題が拗れているのだから。
シオンは二通の手紙をその場で認めてクリュエに手渡す。一通は今の難儀している内容を記載した手紙。
そしてもう一通はシュティ大公に宛てた手紙だ。今、この手紙をもって帝国北部が戦火に見舞われようとしていた。
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