命の重さ
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【東暦 一〇〇五年 七の月 二十の日】
シオンは考えていた。兵を鍛えて三ヶ月。そろそろ兵士たちに実践を経験させたいと思っていたのだ。実践、つまり人殺しである。
しかし、手頃な相手がいない。当たり前だが、理由もなく手あたり次第に殺しにかかるわけにもいかない。
だが、兵士というのは人を殺して一人前になるのだ。シオンもその日暮らしの時に切羽詰まり、依頼で初めて人を殺し、覚悟を決めていた。
殺したのは盗賊であり、正義は我にあった――とシオンは思い込んでいる――が、その手の感触は今でも覚えている。
殺すということは殺されるということ。殺したのが例え盗賊だろうと罪人だろうと誰に恨まれて殺されても文句を言わないという覚悟を。シオンは覚悟を決めている。
「ま、こればっかりは仕方ないわな。平和なのは良いことだ」
そう呟いた矢先のことであった。行商人の馬車がこちらを目掛けて全速力で駆けてくる。シオンは経験上、行商人の馬車が何者かに追われているのだと気が付いた。
何者とは何者なのか。それは盗賊の類である。シオンは兵士の一人を捕まえて招集の笛を吹かせた。辺りに甲高い音が響く。住民たちも慌てて家の中に入り、身を縮こませていた。
この笛は事件の合図だ。領民は全員速やかに自宅に非難し、隠れるよう通達してある。この時代の避難訓練は遊びではない。命懸けだ。そして今回は訓練ではないのだ。
兵士たちが顔を強張らせながらシオンのもとに終結する。その数は二十一人。三交代制で九人は非番だったため、寝ているのだろう。
こればかりは仕方がない。念には念を入れ、インに叩き起こさせに行く。
「まずは行商人の保護を最優先。必ず三人一組で動くように。死ぬんじゃないぞ!」
「「「はっ!」」」
シオン自身も剣を抜く。安物の片刃の剣だ。賊の数は見える範囲で十人。小さな行商人を襲うのだ。人数が多いわけがない。
しかし、欲を抑えきれずにここまで追ってきたらしい。馬鹿な真似をしたものだ。シオンは彼らを蔑む。そしてまずは一人。躊躇いなく切り殺す。
周囲を見る。どうやらまだ兵士たちの理性が人を殺すということを押さえ込んでいるようであった。しかし、それでは仲間が、家族が、自分が殺されるだけである。
「躊躇うな! 殺せ! でなければ仲間が死ぬぞっ! 家族が殺されるぞっ! 生きたければ殺すんだっ!」
檄を飛ばすシオン。自身の狂気を伝播させる。人を殺めるという作業がどれだけ心理負担になるのか、身をもって理解しているのだ。
世界大戦時、引き金を引けた人数は全体の二割程度という説もあるほどである。殺すよりも殺されることを選んでしまう人間が少なくないのだ。
しかし、一度人を殺めてしまえば、悲しいかな慣れてしまうものである。なので零から一、最初の一歩を踏み出せれば。シオンはそう考えていたのだ。
シオンの言葉に従い、一人また一人の槍を突き刺し、振り下ろしていく。遠心力のついた穂先が盗賊の肋骨を砕いていく。殺せないまでも戦闘不能にまで持っていくことが出来た。
殺せと言われれば戦闘不能にまで持っていくことが出来る。戦闘不能にしろと言われたら無傷で逃がしてしまうだろう。
ならば殺すにはどうするか。意図的に明確な意志をもって殺させるのである。
おおよその盗賊を打ち払ったシオンたち。シオン本人が二人斬り殺し、六人が苦痛でのたうち回っている。残りは逃げ去っていった。
シオンは兵士の小隊長であるアレン、イムス、ウッド、エレン、オルグ、カース、キアヌ、グールド、ゲイナー、コスタの十名に命じる。
「こいつらを、殺せ」
それだけを手短に伝える。冷静に考えれば殺してあげた方が盗賊たちも嬉しいのだ。治療されて、拷問されて、殺されるくらいなら、今いっそ殺されたいと願うだろう。
しかし、手を下す側としては冷静な判断が出来ない。人を殺すのだ。いくら上長の命令とはいえ、二の足を踏んでしまう。
「いや、やめてくれ、許してくれぇっ」
「オレたちが悪かったっ。改心する、だから――」
意を決し、最初に槍を手にしたのはゲイナーであった。そして苦しんでいる賊の胸に何度も何度も槍を突き刺す。それはシオンが止めるまで続いた。
そのゲイナーを見倣ってアレン、エレン、オルグ、グールド、コスタの五人も続く。彼らの軽鎧は、両手は血に濡れて真っ赤だ。
皆、肩で息をしていた。それだけ必死だったのだ。人を殺す。その重みをシオンも改めて感じ取っていたのであった。
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