税の多寡
【東暦 一〇〇五年 四の月 二十五の日】
シオンが次に行うことは税の調査である。以前に述べた通り、このバレラードには長い間、領主が不在であった。辺境過ぎて代官すらいなかったのである。
そのため、決められた量の税を帝国に納めれば問題なかったのだが、今後はそうもいかない。シオン達は正確に把握する必要がある。
そしてインとココが入念に調査した結果、隠田と麦の嵩増しが横行していたのである。他の穀物での嵩増しはまだ良い。
嵩増しをして麦を貯めておかなければ不作の時に飢えてしまうのだ。帝国の官吏もある程度は目溢ししていた。しかし、領主として隠田は見過ごせない。
ただ、インは隠田を暴いた上で税を四割に下げる方向で動いていた。そして税を下げる代わりに賦役を課すつもりである。まずは隠田がどれだけあるかだ。隠田のお陰で減税しても税収は増える見込みである。
もし、二割以上の収穫が増えるのならば、税を下げても税収は変わらない。これでシオンも領民も潤うだろう。しかし、肝心の生産物、特産物を売る手段がない。商会もなければ行商人も滅多に来ないのだ。
そこで、領主であるシオンが村人の余剰生産物を買い取る方針を取ることにしたのだ。買取に関しての金額はインとララに任せることにする。
シオンは買い叩けるだけ買い叩けとだけ伝え、あとは任せることにした。
彼女たちは少女だ。村人に詰め寄られたら譲歩してしまうだろう。させないためにも彼女に買い叩けと伝えたのだ。それで適正価格に落ち着くだろうと。シオンはそう見ていたのである。お金は節約するに越したことはない。
つらいのはインとララである。前門の村人、後門の領主である。しかし、村人が譲歩してくれるとインは見ていた。こちらは誘拐までされているのである。そこを突いて強気に出ようと考えていたのだ。
シオンは馬を走らせる。周囲に隠田が無いかシオン自身が確認しているのだ。インも隠田があるのならば早めに申告すれば優遇処置をとる旨を伝えている。
さらにココがトドメを刺した。隠田所持者を密告すれば報酬を支払うことを秘密裏に、噂話として広げているのだ。これで村人たちが互いに疑心暗鬼になっている。
その土台はあった。村長派と領主派に分かれていたのだから。そして、一人が密告したという偽情報を皮切りに、続々と村人たちが隠田を申告し始めたのであった。
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