人が多すぎる
この場はお開きにして馬車を屋敷に向かわせる。まずはインを屋敷に送り届けることが最重要だとシオンは考えた。そのあと、シオン一人で村長の屋敷に向かうつもりなのである。
「エメ、ココは居るか?」
「いる」
「はいはーい!」
「アンとサラを呼んできてくれ」
シオンが馬車を屋敷の前に停め、エメとココ、アンとサラを呼ぶ。インと少女二人を保護してもらうためである。そして保護は彼女たちに任せてシオンは村長の屋敷へと向かった。
そこには数人の男たちが居た。しかし、シオンを見ると皆、頭を下げて立ち去って行ってしまった。シオンは一人で村長の家に入る。大型の家具や食器、衣類なんかは残ったままだ。
お金と貴金属を持ち出して立ち去ったのだ。それ以外は全て残っている。せっかくなので、ここを兵舎として活用しようとシオンはしていた。ちょうど、村の真ん中である。
シオンはそのままの足でベンのもとを尋ねた。そして言う。若い男を三十人ばかり集めろと。条件としては小作人だ。自分の畑を持たず、親兄弟のもとで燻っている男。
そして戦いに興味を示している男である。シオンはこれを重要視していた。戦う気概の無いものに戦い方を教えても戦えないと思っているのだ。
「わ、わかりました。すぐに用意します」
「そう焦らなくて良い。自分の人生に関わることだ。覚悟が決まった者が現れたらオレを尋ねろと伝えておいてくれ。ああ、あと衣食住の保証もすると触れて回れ」
これで燻っている人間を炙り出そうとしているのだ。三十人くらいであればすぐに集まるだろうとシオンは考えていた。これが五十人だったら難しいかもしれない。
人数的にも最適な数である。軍人は人口の五パーセントが理想なのだ。九百人の五パーセントは四十五人。三十人は悪くない数字である。
シオンは村長の屋敷から食糧だけを運び出し自分の屋敷に戻る。そして思い出していた。少女二人を余計に拾っていたのだった。彼女たちの処遇をどうするか考える。シオンは思う。彼女と関係を持ってしまった以上、もう無下には出来ない。
シオンは全員を集めた。イン、エメ、ココ、アン、サラ。そして少女二人である。まずは二人に自己紹介をしてもらうことにした。
「私はジナ。帝国の小さな村で生まれました。炊事や洗濯、家事のことなら任せてください。あの、頑張りますのでお傍に置いてください」
ジナは年齢が十八歳の女性である。ミディアムヘアに鋭い目つきが特徴的だ。彼女には行き場が無いため、何が何でもシオンに取り入ろうとしていた。
「私はララです。私の家は商業連合でお店を開いていたのですが、資金繰りが出来ず、借金の形に売られました」
ララはジナと同い年なのだが彼女とは違い、才媛という印象の女性であった。また、商家の出であるため、四則演算などもお手の物だとか。それはシオンにとってはありがたい情報であった。
「あー、と言う訳で彼女たちをこの屋敷に住まわせることにした。仲良くするように」
そう言うシオン。もう彼女たちを住まわせるのはシオンの中では確定事項のようだ。しかし、正直に言うと人が多過ぎる。そこでシオンはアンとサラの雇用を止めることにした。そのことを告げる。
「なので、アンとサラ。もう来なくて大丈夫だぞ。今まで悪かったな」
謝罪を述べるシオン。彼は二人が無理やり手伝わされに来ていると思っていたのだ。しかし、二人とも顔色が蒼白になっていく。アンとサラにとっても仕事がなくなるのは死活問題なのだ。
そのことに、全く気が付く予定のないシオンなのであった。
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