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家臣を探そう

【東暦 一〇〇五年 三の月 十八の日】


 そして叙爵式当日。紫苑は髪を整え、礼服に着替えてデュポワとともに馬車で登城する。紫苑は准男爵に封じられる。名前も彼が封じられる土地にちなんでシオン=バレラードになるのだ。


 この一週間。シオンは封じられた土地に関して調べられる限り必死に調べた。人口はたったの九百人ほど。名産は特に無く、誰もがこの瘦せた狭い土地で必死に暮らしているのだ。


 南に山があるため、木々に困ることはない。しかし、水場も平地もないため、畑を耕すとなると、根気のいる作業になるかもしれない。


 平地は諦めるにしても、せめて水場が欲しかった。こればっかりはシオンも無いもの強請りをしてしまう。


 だが、シオンは楽観視していた。何せ後ろにはシュティ家が付いているのだ。後は悠々自適なリタイア生活を送るだけである。そう思っていた。


 アンバーは厄介ごとと言ってこの仕事を降りてしまったが、結果どうだ。良い仕事になったじゃないか。なんなら出世して一代貴族を取り消してもらい、富豪に爵位を売っても良い。シオンはそう考えている。


 どうやって爵位を売るのか。それは指定された子女と婚約し、子を授かり、跡を継がせば良いのだ。そのあとは離縁するなり好きにして構わない。シオンはそう教わっていた。


「礼儀作法は叩き込んだな?」

「もちろんだ。つつがなく終わらせてやるよ」


 王城の中でデュポワと別れるシオン。今日の主役はシオンなのだ。皇帝の待つ、大きな門の前で心を落ち着ける。そして入場のラッパが鳴り響いた。どうやら皇帝が入ったらしい。


 そしてシオンの目の前の扉が開いた。ここからは学んだとおりに動いて終わりだ。シオンからしてみれば朝飯前の作業である。


 真っ直ぐ進む。両脇には貴族や官僚が並んでいた。しかし、彼らのシオンを見る目は厳しい。貴族たちから見ればシオンは歴史も何もない、どこぞの馬の骨なのである。


 その馬の骨が貴族の仲間入りをする。たとえ一代限りであっても、それを温かく迎え入れられる度量を持ち合わせている貴族のなんと少ないことか。


 指定された場所で跪くシオン。皇帝が段上の玉座からシオンに対しこう呼び掛けた。


「シオン=バレラード。其方はロメリア=デュ=シュティを助け出した功を認め、准男爵に封じるものとする。また、帝国のバレラードの地に封ずるものとする」

「ははっ。ありがたき幸せにございます。身命を賭して帝国の発展に寄与いたしましょう」


 形式美である。そして皇帝が段上の玉座から降りてくる。そしてシオンの傍に赴き彼の双肩を抜き身の剣で叩いた。最後に一言、耳元で「励め」と言われ式は終わった。


 式典が終わり、シオンは事務官から証書と宝剣と魔石の指輪を受け取る。准男爵に類された証だ。これで名実ともにシオンは准男爵である。そうとなったのならばシオンはさっさと帰る。もう疲れたと言わんばかりに。


 今でもシュティ家に部屋を借りているシオン。そこに帰り、今後のプランをデュポワと練るのであった。ちなみに、あれ以来、ロメリアはシオンのもとを訪れていない。


「家の建築状況はどうなってる?」

「今指示を出したばかりじゃ。そう簡単に建たんて」

「食糧の手配は?」

「そちらは麦を大樽で十。ワインも大樽で十。豆も大樽で十を用意しておる」

「足りんな。家畜として鶏を用意しておいてくれ。番いで五羽ずつ」


 不遜な態度でデュポワに指示を出すシオン。仮にも相手は大公だ。ただ、ことこの件に関してはシオンは強気でいられるのである。


「あと必要なものは――」

「家臣じゃな。准男爵とはいえ貴族は貴族じゃ。家臣を付けねば笑われるぞい」


 そう言って柔らかい笑みを浮かべるデュポワ。確かに家臣は必要である。召使ではない。執事でもない。家臣だ。領地の経営を補佐する者。領地の安全を守る者である。


「これの手配は――」

「流石に無理じゃ。相性があろう? ま、紹介は出来るがな」


 家臣は主従関係が大事だ。なので、手配されてもシオンが気に入らなければ意味がない。デュポワは紹介が出来ると言っていた。そしてシオンをある場所に連れていく。


「此処は……」

「学び舎じゃ。ヒルデリンスの学び舎と言ってな、様々なことを学べる場所なのじゃ。気に入った者がいればスカウトするが良い」


 つまるところ、学校である。


 シオンはデュポワとともに学び舎の中をめぐる。もちろん、学び舎の運営者であるヒルデリンスに許可を取ってからだ。どうやらデュポワとは既知の仲らしく、二つ返事で許可が下りた。


 なんとも変わった学び舎であった。各々が好きなように勉学に励んでいるのである。ヒルデリンスの高弟が教鞭を執っている姿も見受けられた。


「心惹かれた者は居るか?」

「ンなこと言われてもな、そんな直ぐ見つかるもんじゃねぇだろ」

「ほっほ。確かに。では、好きに出入りしなされ。片腕が見つかるまでの。バレラードに家が建つまで時間はある。じっくりと探されよ」


 そういって去って行くデュポワ。こうして、シオンの家臣探しが始まったのであった。

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[気になる点] 他国から来た平民に痩せた土地だとしても複数ヵ国と接している要所を領地として与えるなんてことあるかな? 報酬は法外な要求した主人公も悪いわけだから、 報酬を支払わないことより、国土を守れ…
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