12 S級冒険者VS魔王軍3
ばしゅんっ!
雷光をまとったメルディアが一瞬で視界から消えた。
「なっ……!?」
ジェットが驚愕の声を上げる。
俺も思わず息を呑んだ。
メルディアが超高速で戦場を駆け抜ける。
雷そのものが跳ね回っているような超スピードは、俺の目でさえ捉えるのがやっとだ。
いや、こうして離れているから動きを追えるが、もし実際に向かい合っていたら――。
メルディアの移動速度があまりにも速いために周囲には衝撃波が吹き荒れ、戦場を縦横に切り裂いた。
「たかがスケルトンが……馬鹿な!」
ジェットが拳を振るう。
しかし、もうメルディアはそこにはいない。
最強の武闘家であるジェットの目をもってしても、彼女の動きを捉えきれていないのだ。
次の瞬間、ジェットの背後に稲妻をまとったメルディアが現れ、剣を振るった。
ぎいんっ!
ジェットは頑強な皮膚を活かし、腕を盾代わりにして受け止めるが、勢いを止めきれずに大きく後退した。
「ちいっ……!」
焦りの声をもらすジェット。
これまでの戦況では互角だった。
しかし、今はもう完全にメルディアが優勢だ。
「魔族の力の源は魔力! そして魔力とは……意志の力なんだ!」
メルディアが叫ぶ。
その瞳は闘志に燃え、剣に宿る黒いオーラがさらに濃くなっていく。
「『誰よりも強くなる』と誓った今のボクの魔力は……どこまでだって高まっていく。それをまとったボク自身のスピードも!」
ごおおおっ!
メルディアの姿が再び消えた。
「くそっ、速すぎる!」
ジェットが叫ぶが、既に遅い。
メルディアの剣が横薙ぎに振られる。
「がはっ……!」
ジェットが苦鳴と共に崩れ落ち、膝をついた。
だが、メルディアの攻撃は終わらない。
ばしゅっ! ばしゅっ! ばしゅんっ!!
嵐のような連続斬撃――。
ジェットは応戦しようとするが、メルディアの剣速についていけない。
「ぐぅ……!」
そして、決定的な瞬間が訪れた。
ざしゅっ!
メルディアの剣が一閃し、ジェットの首が宙を舞った。
静寂が訪れる。
しばらくの間、誰一人声を発しようとしなかった。
――ちんっ。
メルディアが静かに剣を納める。
ゆっくりと振り返り、俺の方を見た。
「どう? 今の一撃、魔王様なら防げた?」
その口元には満足げな笑みが浮かんでいた。
俺は驚きつつも、彼女の成長を実感し、自然と口元がほころぶ。
「――当然だ。俺は魔王ディヴァインだぞ」
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