7 結界魔術師アイゼラ
「アイゼラ?」
「ご承知かと思いますが、彼女は魔界にその名を知られた結界魔法の使い手です。現状では戦闘力に長けた者以上に、彼女のような人材が必要かと」
ティアが言った。
「なるほど……魔王城の防御力が落ちていることもあるし、何より俺の手勢はまだまだ少ない。まず防御を固める意味では、結界魔法の使い手を俺の元に引き入れるのが得策か」
うなずく俺。
「アイゼラの居場所は分かるか? 俺自ら出向いて説得に行く」
「では、今回は私も一緒に参りましょう」
ティアが言った。
「アイゼラとは前王様の治世より懇意にしておりましたので」
「それは心強い」
俺はニヤリと笑った。
「ぜひ同行してくれ」
俺はティアとともにアイゼラの元に赴いた。
彼女の家は、王都から数十キロ離れた商業都市の外縁部にある。
かつての魔王軍幹部とは思えないほど小さくひっそりした館だった
「わたくしがアイゼラですわ、新しい魔王様。ようこそおいでくださいました」
アイゼラが一礼する。
アイスブルーの髪を肩のところで切りそろえた美女だ。
「ティアマトさんもお久しぶりです。また会えて嬉しく思いますわ」
「私もだ。久しいな、アイゼラ」
ティアが微笑む。
「お二人とも……何もないところですが、どうぞおくつろぎ下さいませ」
柔和な笑みは友好的な雰囲気に満ちていた。
今まで仲間に引き入れた者とは、衝突したり戦闘になることが多かったため、少し拍子抜けした……というのが正直なところだ。
まあ、戦わずして味方に引き入れられるなら、それが一番だが。
「前王ディルダイア様にも大変よくしていただいたので、あなたがわたくしを登用なさるのであれば、引き続き王のために力を尽くす所存ですわ」
「ああ。現在の俺はまだまだ部下の数が足りない。お前のように優秀な人材はぜひ欲しい」
俺は身を乗り出した。
「俺に――この魔王ディヴァインに力を貸してくれないか、アイゼラ」
「ふふ、魔王様直々のお誘いとあらば、断る理由などありませんわ。以後よろしくお願いいたします」
アイゼラは恭しく一礼した。
それからティアに視線を移し、
「あなたがいれば、新たな魔王様も安心ですわね。ティアマトさんは魔界随一の切れ者ですもの」
「私など、まだまだだ」
ティアマトが首を横に振った。
「それよりも――いいのか、アイゼラ? 即断してしまって」
「ええ。魔王様のお誘いですし、ティアマトさんが一緒にいてくれれば安心ですわ」
アイゼラは相変わらず友好的な雰囲気で、このまますんなり俺の元に来てくれそうだ。
「――おっと、彼女のことは僕も狙っていたんだ。引き抜かれては困るなぁ」
突然、部屋の中に新たな気配が現れた。
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