50:幼馴染の記憶
ご覧頂き、ありがとうございます。
今回は短めですが物語に置いて重要なお話です。
どうぞ最後までお読み下さい。
◇沢北六花視点◇
あれは5歳の頃の話。
強くて、優しくて、足が速くて。
保育園でも人気者だった英太クンの事が私は大好きだった。
その日は私のお母さんの車で青葉市で1番大きな公園に出掛けていた。
クローバーが一面に敷き詰められたような公園。
ブランコで遊んで、滑り台で遊んで。
そして私と英太クンが白詰草の花冠を作っていた時にその子がやってきた。
金色の髪の毛と青い瞳がすごく綺麗な女の子。
お母さん同士が友達で、たまにこうして遊ぶ事があった。
3人居れば鬼ごっこやかくれんぼも出来る。
一通り遊んだ私たちは砂場で遊ぶことになった。
誰かが忘れて行った砂遊びのカップがあって、いいのかなと思いながらもそれでままごとをして遊んだ。
私はもちろん英太クンのお嫁さん役をやりたかったんだけど、その子もお嫁さんが良いって言ったので、仕方なくお嫁さん役は2人になった。
「はい、どうぞ」
器に砂を山盛りにして女の子が英太クンに差し出した。
「ありがとう!」
それを英太クンが嬉しそうに笑って受けとる。
……て。
そして、英太クンが機嫌良さげに言うのだ。
「なぁ、〝ふぁーすとばいと〟って知ってるか?」
「……? わかんない、なにそれ?」
……やめて。
「じゃあ今のがわたしの〝ふぁーすとばいと〟だね!」
「こんどはキミのばんだよ!」
「ぼ、ぼくのばん?」
「そうだよ、わたしにおいしいりょうり、作ってね」
「うんっ! ぼく、もっとりょうり、じょうずになるよ!」
「あははっ、やくそく!」
「ぼく、キミのためにがんばる!」
「うんっ!」
……やめて。お願い。
やめて……。
「大きくなったら、けっこんしよう!」
「うん!」
笑い合う2人。
そんなやりとりを、私はただ見ていた。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。
次回は明日の夜更新予定です。
よろしくお願いします。




