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29:バレー部エースと幼馴染②

 ご覧頂き、ありがとうございます♪


 前回の続きのお話です。



 

 

 

 凛子と六花。

 彼女らがこうして対面するのは初めてのことではある。


 しかしお互いがお互いの事を認識はしていた。


 2人は同じ学校の同じ学年。

 もともとそんなに大勢の生徒が在籍しているわけではないので、同学年同士の生徒であれば顔見知り程度にはなりえる。


 しかし2人の場合は少し違う。


 身長180cm、高身長の美女。

 金色に輝く髪、サファイアのように美しい瞳。北欧の白雪のように美しい柔肌。スーパーモデル並みのプロポーションの持ち主の凛子。


 その卓越した容姿もさることながら、全国的に有名なバレーボール選手である。

 そんな常識を逸したステータスを持つ凛子は学年はもとより、学校中の有名人である。


 一方の六花。


 凛子が〝綺麗系〟ならば六花は〝可愛い系〟


 色素が薄いのか、栗色のミドルボブと茶色の大きな瞳。

 

 透き通るような白い肌と長いまつ毛。目鼻立ちの整ったルックスの彼女が仮にアイドルグループに所属しているのだと言っても十人が十人納得するだろう。


 相手に安心感を与えるほわっとした優しく明るい性格。

 誰にでも優しく接する六花はクラスの中心にいる事が多い。


 そして何より人形のように整った、しかし幼さが残る容姿に相反したバスト。

 童顔ロリ巨乳を地でいく六花は校内でも間違いなく人気上位に位置する美少女である。


 学年を、いや、学校を代表すると言って良い系統が異なるこの美少女2人は注目を集める存在だ。


 だからこそ遠くからではあるが、お互いの事を認識していてもおかしくはない。


 尤も、六花の場合は少し状況が違う。


 六花が想いを寄せる英太。その英太が想いを寄せる凛子。

 

 片思いの相手が好きだと言う女子生徒。


 当然ながら、六花は凛子の事を意識している。


「……で、何で六花は着替えてきてるんだ?」


「え? ふつうだよ?」


 そう。

 姿が見えないと思っていた六花だったが、バーベキュー準備の時にしていた服装とは異なっている。


 恐らく凛子を迎えに行っている時に着替えてきたのだろう。

 その事を指摘するのだが、ニッコリ笑顔でスルーされてしまった。


 英太の問いに対して普通という答えは果たして適当なのだろうか。


「ふ、普通ってなんだよ……」


「……(にこにこ)」


 六花のその笑顔は暗に『それ以上は聞いてくれるな』と訴えているかのようで、英太はそれ以上踏み込むことができなかった。


 実際のところはと言うと、今日の六花はアウトドアを意識したアクティブなファッションを選んできた。


 バーベキューなどのアウトドアのイベントをする際はやはり服が汚れてしまったり、あまりヒラヒラしたものであるとどうしてもアクティブに動けなかったりする。


 だから今回は機能性を重視したなかで工夫を凝らし、それでも比較的可愛く見える服装にしてきたつもりである。


 がしかし、六花にとっての最強の刺客である凛子がやってくるのだと言う。


 そうともなれば機能性は捨てる。


 可愛さで負けていられないっ!

 

 そう息巻いた六花は、英太が凛子を迎えに行ったのを見届けてから自宅に着替えに走ったのだ。


 可愛さの中に大人の雰囲気が垣間見える肩が露出した黒色の長袖トップス。

 袖にはフリルが付いており、六花の細い指先がやっと覗く長さ。


 大人びた、しかし可愛さがあるトップスに合わせるのは落ち着いたワインレッドのスカート。

 比較的高い位置にウエストを持ってきており、黒のリボンをベルトのように腰に巻いている。

 

 足元は丈の短いホワイトソックスに、ブラックのエナメルパンプス。ベルトとチェーンで装飾されたそれは、フォーマルさを演出していた。


 バーベキューには、不向きかもしれない。


 しかしそんな事は些細な事に感じる。


 言うなれば、小悪魔ガーリーコーデとでも言うべきか。

 六花の幼さが残る容姿をその若干大人びたコーデが見事に六花の〝オンナ〟の部分を演出している。


 それほどによく似合っていた。


「それよりほら、もういい時間だよ? 私も手伝うから焼いちゃおー♪」


 六花のアウトドアコーデから、一気に気合の入った服装への変身ぶりに呆気にとられてしまっていた英太。

 

 しかし六花がパンパンと手を叩いて食事の用意を促せば、それもそうかと調理台に向き直る。


「はい、小清水さんのお箸とお皿はこれね。名前の代わりにコレが目印だよ」


 六花が凛子に差し出したのは竹製の割り箸とやや厚めの紙皿。


 どれが誰のかわからなくなるのを防ぐために、それには目印になる様に猫のシールが貼ってあった。

 バーベキューで良くある事の一つが、自分の箸などがどれかわからなくなってしまう問題。

 

 それを解消するための工夫なのであるがどうやらその猫のシールが気に入ったようで、凛子から自然に笑みが溢れる。

 

「あはっ、可愛い。ありがとう」


「ど、どういたしまして」


 その笑顔の可憐な事。

 

 同性の六花ですらその妖精じみた笑顔に一瞬以上に目を奪われてしまった。

 

 英太の事を、好みを知り尽くした六花であればこそ納得しざるを得ない。


(ああ、英太クンが好きになるわけだ……)と。


 六花も凛子同様に英太の手伝いを買って出たが、例の如く断られてしまった。

 断られたと言うよりは、今日は任せてくれよと言われただけなのではあるが。

 

 気量の良さをアピールして英太ポイントを稼いでおきたい六花であったが、あいにく今日の英太はおもてなしモードである。


 顔見知りだとは言え、こうして話すのは初めてのことであるから探り探りではある。


 どんな話題をふればいいのかと思っていると凛子の方から六花に話をふってきた。

 人の心にずかずかと入り込む……もとい、人見知りしない性格の凛子は初対面かどうかなんて気にしていない様子である。

 

 凛子が六花にいろいろと質問するような形から始まり、会話のキャッチボールをしていくうちにお互いの距離感を確かめ合っていく。


 凛子の人懐っこい性格のおかげか、六花の優しい性格のおかげか、英太の最初の料理が出来る頃には初対面である二人の緊張もかなりほぐれたようである。


 


 ご覧頂き、ありがとうございました。


 次回は三人の会話回になる予定です。

 数話程度はバーベキューのお話で、会話などモリモリでお届けしたいなと考えています。


 上手くいくかは分かりませんが、精一杯読者さまにお伝え出来ればと思います。


 そして、まだの方がいらっしゃいましたら、ブックマークと下部星での評価をよろしくお願いしますm(_ _)m

 

 それを励みに頑張ります^ ^


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[一言] 泥棒猫シールで大草原ですわァ↑
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