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28/62

28:バレー部エースと幼馴染①

 なんとか尊死を免れた英太。

 

 凛子を連れて自宅に向かいます。

 そこには当然六花が。


 凛子と六花、ファーストコンタクトです。



 私服姿の凛子を英太の自宅に案内する。


 英太の家はコンビニから徒歩で2.3分程度。

 凛子のアパートから最も近いコンビニであるので、待ち合わせにはちょうど良い。


 英太も凛子も身長は180cm。

 いつもなら目線は同じなのだが、今日の凛子はヒールを履いている。

 

 歩みを進める度にコツコツと小気味良い音がすれば、街の皆からの視線を集めてしまう。


 隣を歩く英太は、日頃から凛子がどれだけの視線を集めてしまっているのかという事に気付かされた。


 慣れない視線に晒された英太は少し居心地が悪そうだ。


「……小清水、いつもこんなに注目されるのか」


「ん、ああ、そうね……今日はいつもより見られてるかも」


 という凛子は慣れたものである。

 視線を感じながらも堂々としている。

 

 凛子の隣を歩くだけでこれだけの視線を感じるのだ。

 本人ならばそれはもっと感じるだろうし、これがいつもだともなれば疲れてしまいそうである。


「まぁ、こんな見てくれだもん。仕方ないわよ」


 と言って自身の金髪を摘んで肩をすくめる凛子。


 その様子からすると、やや自虐も入っている様ではある。


「小清水はハーフなのか?」


 英太は心に湧いた疑問を素直に口にしていた。


 小清水凛子という純和風な名前ではあるが、金髪碧眼、黄色人種とは事なる肌の色を持っている。


 今まで「そうなんだろうな」程度にしか思っていなかったが、話の流れから何となく聞いてみたわけだが、凛子はそれに対してあっけらかんとした様子で応える。


「そうよ。パパ……じゃなくて、お父さんの両親がリトアニアって国出身なの。分かる? リトアニア」


「えーっと、確かバルト三国とか言うやつか?」


「そうそう、良く知ってるじゃない」


 自分のルーツである国をしっかりと理解していてくれた英太が嬉しかったのか、凛子の声が少し跳ねた気がした。


「お、おう。有名だからな……」


 ヨーロッパにあるバルト海に面する国家、3カ国を指した通称でそんな呼び方がある。

 エストニア、ラトヴィア、リトアニアがそう呼ばれているが、それらは美人が多い国だと言われている。


 北欧系の美人のSNSをフォローしている英太としては知っていて当然の情報である。


 ……だから知っているんだとは流石に言えなかったが、こうして実際にバルト美人を目の当たりにすれば納得してしまうのと、自分の目利きのよさに感心してしまった。


「それじゃお母さんが日本人とか?」


「そうよ。お母さんは純粋な日本人で、青葉市(ここ)は母方の地元なのよ。ずいぶん昔に何回か来た事あるわ。バレー始めた頃からは忙しくて来れなくなっちゃったけど」


 なるほど、と英太は手を打つ。


「そうだったのか、縁もゆかりもある土地だったって事か。わざわざここを選ぶ理由がなんとなくわかった気がしたよ」


 母親の出身地なら進学先に選ぶのも分かる気がする。


 とは言え、それだけで一人暮らしまでして選ぶのか?

 と内心は思ったが、コンビニと英太の家は近い。

 会話の途中であるが家に着いてしまった。


 

 ◇


 

 英太の家に着いた2人は先程と同じく玄関には回らず、外階段で二階のバルコニーへ上がった。


 ……そこで待っているはずの六花の姿が見えない。

 

 疑問に思いながらもトイレか何かかと思い直して凛子をエスコートする。

 

「へぇ、こんな所でバーベキューできるなんて素敵な家じゃない」


 思ったより広いスペースに整った設備を目の当たりにした凛子が感心した様な声を上げれば、英太はこの家の持ち主である父親の孫六に対して心の中で親指を立てた。


 ナイスだ父さんっ。


 凛子に折り畳みの椅子を薦めて、英太は大型のクーラーボックスから様々な食材を取り出し、調理台代わりのテーブルに並べていく。


「さて主役も来た事だし、俺は料理の準備に取り掛かろうかな」


「え、主役って何よ。私はゲストのつもりは無いんだから何でも手伝うわよ?」


「ははっ、主役ってのはアレだけど、俺なりに色々準備してるんだ。俺のワガママに付き合うと思って、な?」


 調理の手伝いを申し出て立ちあがろうとした凛子を英太はまあまあと言ったジェスチャーで再び座らせた。


 凛子としては招いてもらった上に、何から何まで頼りっぱなしというのも気が引けるための行動だろう。

 

 しかし英太は英太でこの日の為に思考を巡らせて用意してきた取っておきのアウトドア料理を凛子に振る舞いたい。


 凛子の気持ちは素直に嬉しいが、英太とて勝負を仕掛けたいのだ。


「そう……? なんかいつも悪いわ」


「気にするなって、ウィンウィンだって言っただろ? 俺はやりたくてやってるんだから小清水が気にする事はないさ。ほら、食前酒」


「あははっ、どう見たってお茶じゃないのよ。でも、ありがとう英太」


 それが本心かどうか、凛子に気を遣わせまいとして言った言葉かも知れない。


 しかしその心遣いが嬉しかった。

 前に料理は苦手だと話した事もあったが、そういう事も覚えててくれてのこの言葉なのかも知れない。


 凛子は眉端を下げ「もう……」とため息混じりでそう言うと、笑顔の英太が差し出したミニペットボトルのほうじ茶を両手で受け取った。


 保温されていたのだろうか、それは凛子の心の様にポカポカと暖かかった。


 英太はいつもそうだ。

 

 凛子を気遣い、凛子に気を遣わせまいとする。

 

 それが英太の優しさ。

 凛子はこの数日でそれに気づき始めていた。


 暖かいほうじ茶を一口飲むと、空腹の胃に熱が広がっていくのを感じた。


 アウトドア用の折り畳み椅子に深く腰掛ける。


 背もたれに身体を預けて、目をつむり太陽の光を全身に浴びるとポカポカと身体を温めてくれた。

 

 五月中旬にもなれば汗ばむ陽気の日も増えてくるだろう。

 そうなれば夏の足音も少しずつ近づいてくる。


 山間部に位置する青葉市の春は短い。


 その短い春を感じるには最高のシチュエーションである。


「それで、他のメンバーは? 英太の家族とかいるって言ってなかった?」


「妹は部活行ってるから昼過ぎに帰ってくる。けど六花どこ行ったんだ? さっきまでいたのに」


「六花さん? その子って同じ学校の子?」


「そうそう、俺と同じクラスの……って、来た来た。六花、どこ行って…………」


 と、凛子とそんな話をしていると六花が外階段を上がってきた。


 ……何故か服を着替えた六花が。

 


 ご覧頂き、ありがとうございました。


 次回も凛子と六花と英太とのお話です。

 

 週末お休みをいただきまして、少し書き溜めも出来ました(ほんとに少しですが)


 平日は頑張って毎日投稿をしたいと考えておりますので、是非ぜひブクマや星の評価で応援して頂けると嬉しいです♪



 今日は凛子の人物紹介です。


【小清水 凛子】

身長180cm 体重57kg

2月25日生まれ O型

北欧リトアニアと日本の血を引くハーフ。バレー部の特待生。左利き。


金色のショートカット。後ろ髪はうなじが見えるほど短いのに対して前髪は顎の下くらいまで伸ばしている。

前髪を7:3で分けており、左側を耳にかけている。左耳にはピアス。サファイア色のやや端の上がった瞳。

パリコレモデル並みのプロポーション。超絶美人。

ただし胸は大きくない。本人はかなり気にしている。


…だがかなりガサツな性格のため、異性にはモテない。

プラモデル作りが趣味。部屋は割とキレイ。料理は苦手。



 まだまだ序盤のつもりですが、皆様の推しを作者にお教えください。



 下記のヒロインの番号を感想欄にご記載いただけますと、読者様の意見が知れるかなーと思った次第です。


①凛子(バレー部エース)

②六花(幼馴染)

③咲(女子大生)


 一応お話の最後は大体決めていますが、読者様のご意見も知りたいのです。

 

 もし宜しければぜひご参加下さいませ。


 次回も頑張ります^ ^


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 2一択。一番主人公のために尽くしてくれてるし行動とかいい子だし良き。1は主人公を利用してるだけ。3はもうちょい出番増やして欲しい
[一言] ③です。頑張って年上のお姉さん感を出そうとしてる所が良き
[一言] ②ですね。立花さんが健気可愛いですし、こういうタイプの幼馴染みには初恋実らせて幸せになって欲しいです。
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