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25:幼馴染と買い物へ行く

 ご覧頂き、ありがとうございます♪


 少し寄り道してしまいましたが、いよいよバーベキュー!!


 まずは六花と買い出しに向かいます。

 



 ピンポーン。


 朝食を終えた英太が着替えをしているとインターホンが鳴った。

 ついさっき六花から『家まで迎えに行く』旨のLAINが来ていたので、モニターを見るまでもなく六花だろう。


 しかしモニターの近くにいた母の望美が応答しているようだ。

 

 バイトでもプライベートでも交流がある二人はモニター越しに一言二言会話をしているのが聞こえて来る。


「六花ちゃん来たわよ。上がってもらう?」


「すぐ行くって伝えて」


「はいはい」


 ジーンズにベルトを通している所で手が離せなかったので、手短にそう伝えると英太は着替えを急いだ。



 階段を降りて店の入り口の裏手にある家部の玄関に行くと、上り(かまち)に腰掛けていた六花が振り返った。


 いつものように花が咲いたような笑顔を向けられれば、英太も自然に明るい気分になる。


「おはよう、英太クン」


「おはよう。悪い、ちょっと待たせちゃったか」


「ううん。ちょっと早く起きちゃったから」


 そう言いながら立ち上がると、服のシワを軽く叩いて伸ばした。


 今日の六花のコーデはスエット生地の七分袖ワンピ。


 カーキ色のロングワンピースにベージュのキャップ、足元は真っ白なスニーカーというアウトドアを意識したアクティブで、それでいて女の子らしさを前面に出したコーディネートであった。


 特にベージュのキャップが六花の栗色のミドルボブによく似合っている。


 いつもガーリーコーデが多い六花。

 ヒラヒラした可愛い服も素敵だが、今日はバーベキュー。それを意識した服装を選ぶあたりは気が利いている。


 それになんだかいつもより機嫌が良いように見える。心なしか声も弾んでいるように思えた。


「なんか機嫌良くないか?」


 英太がいつものスニーカーを履きながらそう言うと、六花はやはり機嫌が良さそうに目を細めた。


「ふふっ、そうかな? バーベキューなんて久しぶりだし、それに今日ステキな夢見ちゃったからかも」


「ははっ、良い夢を見たからご機嫌なのか? そりゃエコだな」


「あははっ、エコってなに? ふふっ」


 かく言う英太も昨晩見た夢のおかげで機嫌が良いのだ。


 人のことは言えないのだが、小さな頃に女の子と結婚しようって約束した時の夢を見たなんて言えるはずもない。

 

「ははっ、俺もよくわからん。さ、とりあえずホームセンターからだな」


「うん。行こーいこー♪」


 にこにことした温かい笑顔の六花は先陣を切って玄関から出ていった。

 

 無邪気で楽しそうな六花を見ていると自然に表情が綻んだ。



 近所のホームセンターは朝の8時、平日に関しては7時から開いている。


 他の地域はどうなのか英太は知らなかったが、土木が盛んな青葉市であるから現場に向かうまえに各資材を購入できるようになっている。


 それに田畑(たはた)が多い田舎都市であるから肥料などの農業用品も充実している。

 

 今は田植えの季節であるから、駐車場には農家の人たちの物と思しき軽トラも数台止まっている。


 地元産の食材を多数扱う花月の長男坊としては、日頃の農家の方々の苦労には頭が下がる。


 休み知らずの彼らに心の隅で感謝しつつ店内に入る。


 入ってすぐの所に設置されたアウトドア、キャンプ用品コーナーの一角に置かれている炭5kg入りの段ボールと紙コップ、紙皿をカートに入れる。


「ええっと、これだけでいいかな?」


「そう……だな。うん、これだけだ」


 トングや火挟(ひばさみ)などの道具は英太の家にあるものを使えば良いし、必要なものはこれだけのはずだ。


 あまりにもあっさり終わってしまったので、わざわざ付き合ってもらった六花に少し申し訳なくて英太は頭をかいた。


「すまん、これだけのために」


「え、どうして?」


「いや、これだったら俺だけで来ても良かったのかなって思ったからさ」


「そういう事かぁ。そんな事ないよ、私、こういうの好きだよ。なんかワクワクしてくるし、楽しい事をするための準備って、なんか……うーん、ワクワクする」


 心からワクワクしているのだろう、語彙力皆無の状態に陥った六花がそんな事をいうと英太は苦笑を浮かべる。


「あははっ、ワクワクしすぎ」


「ふふっ、言葉が思い浮かばなかった」


 失敗ぃ。という六花だったが、眉端を下げる事なく赤い舌をチロと出して笑った。


 六花の気遣いなのか、本心なのか。


 どちらにしろそう言ってもらえると気持ちが軽くなった。


 六花は本当に人のことをよく見ている。

 

 バイト中も欲しい時に何も言わずにフォローしてくれるし、今のように欲しい言葉を言ってくれる。


 それは英太が相手だからではなく、誰に対してもそうであるから学校でも男女問わず人気者である。


 英太自身も六花のこの優しさに何度も助けられてきた。

 

 英太にとって自慢の幼馴染である。


 レジを通して会計を済ませて店外に出て二人並んで歩き出す。


 英太は炭を抱えて、六花は紙皿とコップが入った袋を下げて歩く。

 

 一旦荷物を置きに帰って、そこから近所のスーパーに飲み物を買いに出かける。

 人数と好みを考えて飲み物をカゴに入れていく。


 たったそれだけの事。


 しかし六花にはそれが楽しく感じられて仕方がなかった。

 

 飲み物が入ったカゴを持つ英太の筋肉質な腕に血管が浮き出ているのに気づくと、やっぱ男の人なんだとドキっとしてみたり。


 帰り道もさりげなく車道側を歩いてくれたり。


 その小さな気遣いに気がつくたびに六花の心はときめくばかり。

 

 他愛もない話をするこの時間が六花にはどうしようもなく楽しく感じられていた。

 

 今日はみんなとバーベキューをするんだ、それはすごく楽しみ。


 けどいつか二人きりでキャンプなんてしたら楽しいだろうな。

 そんな事を考えると自然に頬が緩んだ。

 

 

 

 

 


 ご覧頂き、ありがとうございました♪


 六花のプロフィールといいますか、人物紹介です。


 【沢北 六花】

 身長152cm 体重38kg

 6月23日生まれ A型

 

 英太に恋する幼馴染。15歳。

 栗色のミドルボブ、色素が薄いのか瞳も茶色い。  

 幼くも人形のように整った顔立ち。…巨乳(小声)

 家事全般が得意。気がきく性格で友人は多い方。

 しかし前に出る性格ではなく、フォローに回ることの方が得意。


 中学校まで吹奏楽部に所属していた。パートはパーカッション。ドラムはなかなかの腕前。高校でもやろうかと考えている。


 次回も六花回。お楽しみに^ ^

 

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