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21:ファーストバイト

 ご覧頂き、ありがとうございます♪


 今回は短いですが、過去の重要なエピソードをお届けします。

 




 ……夢を見ていた。



 ゆらゆらとそよ風に(なび)く白詰草。


 一面に生い茂ったクローバーの上を二人の子供が楽しそうに走り回る。


 一人は男の子。もう一人は女の子。歳の頃は5歳か6歳か。

 恐らく未就学であろう彼らには性別の違いなど些細な事である。


 走り回ってくたびれたら砂場へ行って山を作る。


 誰かが忘れて行った砂まみれの器を見つければ、そこは食卓へ早変わりする。


 女の子がその器に白米に見立てた砂をこれでもかというほど盛って男の子に差し出す。


 それを男の子は嬉しそうにして受け取る。


 彼のそんな表情を見て、彼女は満足げに笑うのだ。


「なぁ〝ふぁーすとばいと〟ってしってるか?」


「……? わかんない。なぁに、それ」


 ファーストバイト。


 結婚式などで行われるパフォーマンスの一つで、新郎が新婦へ、新婦が新郎へウエディングケーキなどを食べさせあう事を指す。


 新郎からの場合は〝一生食べるものには困らせない〟


 新婦からの場合は〝一生美味しいものを作ります〟


 諸説あり、さまざまな解釈が混在するが、簡単に言うとそんな意味を含むパフォーマンスである。


 幼いながらも懸命に意味を説明すると、彼女はにっこりと笑って言う。


「じゃあ今のがわたしの〝ふぁーすとばいと〟だね!」


 弾ける笑顔を向ける彼女は、その小さな両の手のひらを広げて見せる。


 なんだろうと首を傾げる彼をよそに、歌う様な明るい声で彼女は言う。


「こんどはキミのばんだよ!」


「ぼ、ぼくのばん?」


「そうだよ、わたしにおいしいりょうり、作ってね」


「うんっ! ぼく、もっとりょうり、じょうずになるよ!」


 今度は彼が山の様に盛った砂を女の子に手渡す。


 少しだけ意味がズレてしまったままだが、二人は笑いあう。

 

「あははっ、やくそく!」


「ぼく、キミのためにがんばる!」


「うんっ!」


 その後、彼らは大きくなったら結婚しようと約束して別れた。


 相手の顔も、声もぼんやりとしか思い出せない。


 けれどそれは夢なんかじゃない。


 そう断言出来た。


 何故なら今でもあの時のドキドキだけはこの胸の中にしまってあるのだから。





 遠い日の記憶。


 何度見たか分からない夢を今日も見た。


 

 

 ご覧頂き、ありがとうございました。


 短いエピソードでしたが、お付き合い頂きありがとうございます。


 小さい頃の約束。


 好きなんだよぉぉぉぉ!!


 次回も頑張ります(*´∇`*)


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