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19/62

19:幼馴染と女子大生とバーベキューの打ち合わせをする

 ご覧頂き、ありがとうございます♪


 バレー部の問題も解決出来そうで胸を撫で下ろした英太。

 楽しい楽しいバーベキューの段取りを六花と咲と話しますが。


 咲は何やら納得がいっていない様子です。



 その日の夜。今日も英太は花月で腕を振るう。


 週末という事もあり、店は大盛況。

 コース予約の団体さんも数組入っており、店内は非常に賑やかだ。


 英太が仕上げた料理を六花が運び、咲がひたすらドリンクを作り、六花が運ぶ。


 基本的に咲もホール担当なのだが、ドリンクの注文が重なってホールなどには出れない状態が続いていた。


 注文を取ってきた六花が伝票をカウンターに置き、オーダーを読み上げる。


「咲さん、カウンター1番さん生、座敷4番さんが生3、ファジーネーブル、ピーチフィズ、カシスソーダお願いします」


「はいよ。六花、これ3番さんに頼む。お猪口2つ」


 咲は景気の良い返事をし、レンジで燗にしていた日本酒入りの徳利(とっくり)を酒運びに入れて六花に手渡した。


「はぁーい」


「あ、ついでにこれも3番さん」


 例によって愛想の良い返事を返してパタパタと小走りでかけていこうとする六花を英太が呼び止めた。


「はいはぁーい」


 くるりと踵を返し、ニコニコ顔で英太から枝豆の器を受け取り、再びホールに出て行く。

 

 栗色のミドルボブが六花の動きに合わせてふわふわと揺れた。

 非常に可憐なその姿に、客の数名が振り返って六花を目で追った。


「英太、これ1番さんに渡せるか?」


「もちろんす。預かります」


「悪いな、頼んだ」


 咲から生ビールが入ったジョッキを受け取り、カウンター越しにお客さんに渡す。


 この後もしばらくピークは続いたが、3人の連携でオーダーを次々にこなして行き、ようやくオーダーが落ち着き始めた頃。


 いつものように厨房の片隅に折り畳みの椅子を並べて六花と咲は小休憩を取っていた。

 

 二人とも休憩室で休まないのは、いつお客さんに呼ばれるか分からないから。


 ……と、六花と咲は口を揃える。

 

 テーブル代わりの調理代にそれぞれの飲み物、六花はアイスティー。咲はトニックウォーターを並べて一息をつく。


 休憩中の話題はもっぱら日曜日に予定された碧家主催のバーベキューの話題である。


「食材は明日の仕入れに入れてもらってるから、買い出しは炭と紙皿と……」


「飲み物?」


 六花のフォローに「それだ」と英太は人差し指を立てる。


「じゃあアタシが車出そうか? 運ぶの大変だろ、そうだそれが良い」


「咲さんバーベキュー来れないのに準備だけ手伝わせるの悪いっすよ。それにホームセンターの後に一旦荷物置きに寄れば大丈夫ですよ」


 滑らかな黒髪に手櫛を入れる咲がそう提案したが、英太がやんわりと断りを入れる。もちろん遠慮からくる行動だ。

 

「い、いや、けどな……」


「明日遠征なんでしょ? 私と英太クンの二人で大丈夫ですから。……ふふっ」


「くっ、猛烈に腹立つ……」


 含み笑いさえなければなんの変哲もない会話なのに妙に刺々しい六花と咲のやりとり。


 〝キス未遂事件〟の事が尾を引いているのか、やや挑発的な六花の視線に咲は歯噛みした。


 アイメイクバッチリの咲に睨まれればなかなかの迫力の筈なのだが、そんな視線には六花は慣れてしまっている。


 マシュマロのように柔らかそうな頬を膨らませると、唇を尖らせてプイとそっぽを向いた。


 咲の所属するバンドは週末になると、ライブハウスで交流のあるバンドなどと合同のライブをする事がある。いわゆる対バンというやつだ。


 人気のバンドなら機材などは事務所のスタッフが運んでくれたりするのだが、咲たちのような駆け出しのバンドはメンバーの車に機材を詰め込んで自分たちの運転で出向く。


 設営から片付けまで完全にセルフで行い、ライブ後には当然のように打ち上げがある。

 宿代も事務所から出るはずもなく、車中泊して自分らの運転で帰ってくるというハードなものだ。


 しかし咲らのバンドは曲がりなりにも事務所に所属出来ている。金も人気も無いバンドとは言え、その点では他のバンドより優遇されていると言って良いのかも知れない。


 話が逸れたが、以上の理由でライブが土曜の夜であっても次の日の日中に帰ってこれるかどうか。

 

 バーベキューに参加できない咲としてはバイト以外の時間に英太に会える貴重な機会であるから、ただの準備だとは言え是非とも参加したいイベントである。


 六花に恨みったらしい視線を投げかける咲に、どうしてそんなに買い物に行きたがるんだ? と英太は首を傾げる。


 けれど確かに咲だけ来れないのは申し訳ない。

 

「じゃあ咲さんは今度スタピ奢りますよ。甘いのでも何でも」


 スタピ。緑の看板が目印の外資系のコーヒーショップだ。

 

 六花と咲は一瞬同様に固まる。

 

「「………………え」」


 しかしお互いの心境は言わずもがな真逆である。


 六花は青ざめ、咲は頬を高揚させ手をワナワナと震わせた。


「今度、一緒にお茶しましょう咲さん」


 咲は立ち上がり、拳を握って勝鬨を上げた。

 

 六花は逆転サヨナラホームランを打たれた投手の様な表情を浮かべ、膝を折った。


 一緒にスタピ行くだけなのにこんなに喜んで貰えるなんてと思っている英太は、二人の真意などはとても知る由もない。

 

 ご覧頂き、ありがとうございました。


 ちょっとだけ裏話を。


 咲は現在20歳です。

 誕生日は4月21日で、英太とは4学年違う事になります。


 だからどうしたって?


 ……確かに\(^o^)/www


 だからどうしたというわけではありませんが、設定として一応お話したかったので^ ^


 彼女のバンドのお話もいつか出来たらなと思っています。

 

 いつも金髪弁当を応援して頂きありがとうございます♪


 まだまだ頑張ります!


 次回は妹登場予定です。お楽しみに(*'ω'*)



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― 新着の感想 ―
[一言] 膝から崩れる六花ちゃん…… 想像するだけで……良い!
2022/06/25 00:43 退会済み
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