14:バレー部エースの帰り道②
ご覧頂き、ありがとうございます♪
少し短めですが前回からの後半部分になります。
「……?」
ガラにもなく物思いにふけりながら帰路に着く。
すると校門の所に誰かがいた。
街灯に照らされているその人物はジャージ姿で膝に手をつき、肩で大きく息をしている。
ジョギングの途中なのか、それにしても全力疾走してきたのでは無いかと思える様子だ。
息継ぎも絶え絶えに、大きく息を吸っているその人影が顔を上げた。
「はぁ、はぁ……よ、よう、偶然だな、はぁ、はぁ」
「え、英太!? ど、どうしたのよっ」
苦しそうに息をしているジャージ男はなんと英太だった。
まさかの人物に凛子の声が自然に大きくなる。
「ラ、ランニングが趣味で……はぁはぁ……たまたま、通りかかった……今から帰りか?」
「え、ええ、まぁそうだけど……ええ?」
「お、俺もちょうど帰りなんだ。送っていくぞ」
滴る汗を袖で拭って、身を起こした。
ランニングが趣味……それは本当かどうか分からない。
「は、はぁ? 何言ってんのよ?」
「昨日もだいたいこの時間だったから……って、そうじゃなくて、バイト終わりにランニングするのが趣味で……えーと、その……」
うっかり本当のことが口から出そうになった英太は口をつぐみ、頭をかいた。
そんな英太がなんだか可笑しくて、つい笑ってしまう。
「……ふふっ、まぁいいわ。偶然ね」
偶然居合わせた英太と一緒に帰るだけ。
何もおかしい事はない。
ランニング途中にたまたま学校の前を通りかかって、たまたま出てきた凛子に出会して、帰るついでに家まで送って行ってくれるというのだ。
『女子高生一人で歩く夜道が心配で来た訳じゃない』としても。
あまりに苦しい英太の物言いについ笑ってしまう。
「ああ、偶然だ。ところでおにぎりはどうだった? 大きさはちょうどいいか?」
「うん、ありがとう。大きさも味も最高。今もお腹空いてきてないし、もう今日は何も食べなくてもいいかも」
帰路に着く凛子の隣に自然に並ぶ英太。
二人の身長はほとんど同じくらいで、目線が自然と良く交わった。
「……重山先輩が?」
話の流れでバレー部の現状の雰囲気の話になったので、凛子は英太に今のバレー部の雰囲気を話したのだが、どうやら英太は重山先輩のことを知っている様だった。
「重山先輩の事知ってるの?」
「ああ、小学校も中学も同じだったからな。最近付き合いだしたっていう彼氏の青木先輩の事もよく知ってる。……何回か放課後に二人で歩いているところを見たけど、そう言う事だったのか」
「放課後っ……」
それを聞いて凛子は肩を落とした。
ここ最近、確かに部活を切り上げる時間が早くなったりする事が多くなってきたと思ったら……そう言う事だったらしい。
わかってはいた事であるが、それでも実際にこう言われると落胆してしまう。
部活が休みの日も自主練習を欠かさない凛子は、そんな重山の事情を知る由もない。
まさか部活を早く切り上げてまで彼氏と会っているとは……いや、振り返れば思い当たる節もないこともない。
普通の部活であれば監督が練習の管理をしているはずなので、そんな事にはならないはずなのだが……あいにく今のバレー部は、監督の日村は練習に顔を出さない。
良く言えば生徒の自主性に任せていると。
正しく言えば放置している。
「……英太?」
「あ、いや、何でもない」
隣を歩く英太は何かを考え込んでいる様だったが、凛子が声をかけるといつもの調子に戻った様だった。
「小清水、少しコンビニ寄って行かないか? スポドリ買いたくてさ」
「いいわよ、私もプロテイン買いたかったし」
凛子のアパートへの帰り道、コンビニに寄って思い思いの物を買ったが、その最中ずっと英太は何か考えている様に見えた。
英太がこの時にどんな事を考えていたのか。
当然、凛子は知る由もなかった。
前回からの続き
お読みいただき、ありがとうございました。
少し短めだったのですが、一話だと少し長くなってしまうため、分割させていただきました。
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