91/144
91. 祈りの雨
ポツリポツリと
今にも空が泣き出すように
降り始めた雨の肌を刺す冷たさに
ふと立ち止まり天を仰いだ
雨はしとしとと降り続き
雑踏の埃を落として
私の躰は濡れそぼり
それは私の心も浄化するかのように
私の躰を水色へと染め上げていく
この気まぐれな冷たい雨は
あなたの街で
あなたをも濡らしているのだろうか
嗚呼、今すぐあなたを抱き締め
私の四肢の温もりで
あなたを暖めてあげたい
それが叶わないのであればせめて
あなたの上に降りしきるこの雨が
あなたの躰も心も優しく包み込むようにと
私は再び天を仰ぎ水色の雨に祈りを捧げる




