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88. 水色の雨の憧れ
真夜中の蒼い静寂に
疲れた躰をベッドに投げ出し
白いシーツの波間で
記憶の彼方のあなたの姿を思い浮かべる
それはぼんやりとした輪郭で
けれどあなたは微笑んで
澄んだ瞳で私を見つめるあなたは
右手を差し出し
優しい声音で私を呼ぶ
嗚呼、だから目を閉じて
しとしとと濡れそぼる
九月の雨音を聴いて
透明な雨を心に映して
あなたとの静かな水色の想い出を
二人だけの大切な時間を思い出して
今は唯、想い出の色に染まって
そのたゆたう記憶の中に浸って
私を清らかな水色に染めあげた
あなたの憧れを今宵は夢に見て




