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84. 叶わぬ夢
好きだったと
愛していたと
どうしようもないくらい
私はあなたを求めていた
あの夏
突然、現れたあなたに
私は魂を
心の全てをさらわれた
優しかったあなた
慈しみ深く教養に溢れ
何より私を心から
愛してくれたあなた……
私達は惹かれあい
会話を重ね互いを欲し
それは
躰をも重ねたいと
そう望んだけれど
皮肉な運命は、私達が十七歳の
何もかもが眩しい輝ける季節に
出逢うことを許さなかった
あなたに逢いたい
一度でもいい
あなたに逢いたかった
そう
それはもう叶わない夢……




