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82. 夏の夜のあなたと私
蒸し暑い真夏の夜に
あなたと私は
素肌のまま睦み合う
生ぬるい空気の中で
天井には扇風機が緩く回っていて
窓のない狭い部屋の中
私とあなたしかいない
それは時間とも世間とも隔絶した
二人だけの空間
白いシーツの上で
誰にも見せたことのない顔を
あなたに
あなただけに晒す私は
この瞬間だけ
何もかも忘れて
あなただけを愛する私は
あなたに囚われ
過去を捨て
未来をなくし
ただ流されるまま
あなただけを愛して
あなたから愛される
この世に私とあなたしか存在しない
真夏の深い夜の底……




