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81. どれほど罪深くあろうとも誇らかに
あなたの住まう処に
豪雨が襲いきた深夜
あなたの行方を案じ
唯、あなたの身の安全だけを願い
あなたに短い便りを送り
あなたの無事を祈った
"ありがとう"
あなたから返事が届いた翌朝
夏の光が降り注ぎ
街は雨の雫を滴らせて
木の葉は風に清かにその葉を揺らしていた
"貴女は誰からも自由で
貴女自身からすら、自由だから
貴女は、貴女だけが持つ想像の翼を自在に羽ばたかせて
唯一無二の世界を創造する創造主でいて欲しい……"
私たちが十七歳だった頃
あなたが青いインクの静謐な文字で認めていたかのような
そんな雰囲気を醸し出すあなたの理知的な文章は
私の心に楔を打って私に熱い心を呼び覚ます
嗚呼、
私達はどこまでも一途で純粋な心で
無から有を生み出す存在である限り
どれほど愚かで罪深くあろうとも
この命尽きる瞬間さえ
互いの瞳を見つめる存在でいられるだろう
誇らかにその事実を噛み締める
五度目の夏は巡り来て……




