77/144
77. 桜の手紙
吹き抜ける風が暖かい四月の午後
窓辺から眺める桜は葉桜になって
風に舞い、はらはらと散りそめる
あなたは何をしていますか
今、何処で何を思っていますか
あなたの傍らには今でも
あの女が寄り添っていますか
あなたと出逢って迎える四度目の春は
独りの自分が身に染みて
でも、どこか心なしか穏やかで
あなたの好きな青いインクの万年筆で
あなたには届かない
届けない手紙を認めている私は
唯、あなたの健康を祈り
あなたの幸せを願っています
手元の桜色の便箋に
溢れる涙を零しながら……




