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72. その真実は
どうして答えてくれないの
私の問いをはぐらかすの?
あなたに真実を問うことは
どこか酷く躊躇われて
今までずっと
自分を抑えてきたけれど
もう耐えられない
私は真実が知りたい
例えその答えに動揺するとしても
それがあなたを傷つけることだとしても
私は真実こそが知りたかった
それなのにあなたは
どこか遠い瞳で
いつものように笑みを湛えて
あなたは決して私の欲する
あなた自身のことは語らない
あなたは唯、
私をどこかこの世のものでは
ないかのように讃え、求めて
私の心に楔を打って
私を捉えて離さない
嗚呼、けれど私は知っている
私はあなたの美しい女には
決してなり得ないことを……




