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60. 明けない夜に
淡いラベンダー色のネイルを塗り
アールグレイの紅茶を頂きながら
あなたのことを考えている午前二時
あなたは今、何をしてるの
誰の手を取り眠っているの
そんな私の想いを嘲るように
時計の針は遅々として進まず
舌打ちする時間だけが
ゆるやかに過ぎてゆく
塗り立てのネイルを歯で傷つけて
お気に入りのティーカップの端を
細いその指で弾いて
唯、やるせなく遙かな想いを
どこまでも彼方に運んでゆく
この真夜中の蒼い時は
しんしんと更けゆきて
あなたがいない……
ただそれだけの事実に
自分を狂わせる
未だ暗く深い闇の中で




