59/144
59. 煉獄の行方 【夏の光企画】
本作は、銘尾友朗さま主催「夏の光企画」参加作品です。
あなたが病を得てもう一年の時が経つ
あなたは躰を壊し、心を病んで
未だ重症の床に伏している
嗚呼、それなのに
私はあなたの為に何も出来ない
ただ、出逢った頃の想い出に縋り
言葉を発さないあなたに語りかけ
あなたを唯、ひたすら想い続ける
それだけしか……
私達が出逢った三年前の夏
空は燦々と陽の光眩しく
鳥は美しく歌い
木々は青々としたその葉を
心地よい風に揺らしていた
私達はお互いのことを語り合い
心から想い、愛しあっていた
そんな季節はもう訪れない
あなたの枕辺で涙する私に
あなたは何も語りかけてはくれない
あなたは天国への階段を一歩、一歩
登って行っているというのだろうか
嗚呼、
この苦しみからいつ解放されるのか
誰でもいい私に教えて……
あなたを失ってしまった私を救って




