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54. 君の涙
君が流す涙だけは
見たくないと願っていたのに
僕が本当の心を口にしたばかりに
君を困らせて
君を傷つけた
嗚呼、泣かないでくれ
僕を愛せないからと言って
あいつが好きだからと言って
悩み苦しまないでくれ
許して欲しい
君を好きになったこと
いつも控えめに微笑んでいて
誰にも分け隔てなく優しい君
そんな君を
僕は好きにならずにはいられなかった
あいつから贈られた金の指輪を
いつも嬉しそうに見つめている
そんな可憐で幸福な愛らしい君を
嗚呼、泣かないでくれ
どうすれば
君の涙を拭うことが出来るだろう
こんなにも君を
君だけを愛しているのに……




