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38. 恋の終わりの灯がともる
待ち合わせたのは
十年前に約束した
私が育ったあの街の
私が通ったあのカフェの
かつての窓際の二人席
ストリートは賑やかで
人の流れを追いながら
木枯らしの吹く午後の街
紫紺のセーラー服に白いスカーフで
制服姿のあの人と見つめ合い
シャミナードを聴きながら
頰を染め、はにかんで
時を忘れて語り合う
十七歳の私……
そんな白昼夢を見ていた
夕焼け迫る懐かしい故郷
そして
街のネオンに灯がともる
現れないあの人の胸中を
いかばかりかと探りつつ
私は待ち続けるのだろう
ずっとずっといつまでも
この恋の終わりを想いながら
見えない星空を見上げながら




