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34. 水のように冷めやかで、火のように熱く
僕を見つめるその瞳は
水のように冷めやかなのに
貴女の躰は火のように熱い
僕の背中にその細い腕を伸ばして
僕の耳元で甘い吐息を漏らす貴女
その睦言に我を忘れ、酔いしれて
貴女の全てを手に入れたいと欲していた
けれど、あなたの瞳は僕の瞳を通り越し
もっと違う
遥かな高みを見つめている
それは、貴女が歩んで来た過去
貴女の躰を通り過ぎて来たもの
僕以外の明らかに他の男の
存在を見せつける貴女……
貴女を手に入れたい
心も躰もその全てを
僕だけのものにしてしまいたい
そんな野望を抱く僕を見つめる
貴女の瞳は冷めやかで
貴女の躰は火のように熱い……




