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29. 空を見上げて
あの日
あの時
あの場所で
言葉を綴っている
あなたと出逢った
夢を語らい
愛に導かれるまま
唯、惹かれ魂を奪われた
秋は天翔けるペガスス
冬の夜に輝くシリウス
春は青白い炎のスピカ
そして、巡り来る夏
ベガとアルタイルが
頭上には瞬いていて
織姫と彦星のように見つめあい
逢瀬を重ねていたかったけれど
全てを欲する心は矛盾を呼び
やがて歪みを生み出して
世界は完全に崩壊し
互いの存在さえ滅ぼした
あなたの住まう処にきっと
繋がっていると信じている
空をあなたも見上げている
それは清々しいほどに青く




