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20. 夢の途中
夢の中の私はいつも決って
あの懐かしい制服を着てる
それはセピア色した想い出の
紫紺のセーラー服姿で
白いスカーフを靡かせ
私は知らんぷりをして
あなたの前を通り過ぎ
彼の手を取り歩き出す
あなたの存在など知らぬげに
そしてあなたは唯、立ち尽くし
私の後ろ姿をじっと見つめる
その視線に振り返っていれば
あなたが私の腕を強引に
掴んでくれさえしていたら
私たちのその後の未来は
交わる道を辿っていたのか
夢の中で私は
夢の中でさえ
泣いているのに
あなたに気づいて欲しいのに
夢の中のあなたは
彼女の手を取って
私の前を歩き出す
わたしの存在など知らぬげに




