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17. 蒼い夜
真夜中の蒼い時
素肌の自分を抱き締めながら
心は過去へと彷徨い始める
あなたと初めて
肌を合わせたあの夕べ
恥じらいに
衣摺れの音すら立てず
ただ、あなたに導かれるまま
ベッドの白いシーツの波間に
身を任せた
あの夜の
あなたの温もり
あなたの鼓動
あなたの全てが
私の中に溶け込んで……
そんな幸せな記憶の中に
ただ一夜の想い出だけを
このちいさな胸に秘めて
優しかったあなたを
私を大切に慈しんでくれた
あなたの姿だけを
思い浮かべながら
今宵もまた更けてゆく
真夜中の静かな蒼い時




