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15. 口唇
私の知ってる口づけは
私の初めての口づけは
甘く、優しく
蕩けるような
あなたの口唇
あれは花冷えの寒い夜
桜の森の公園の中
ふたり手を繋いでいて
あなたはふと立ち止まって
じっと私の瞳を見つめて
そして、私たちは
口づけを交わした
あなたの口唇は柔らかくて
しっとりと潤っていて
桜の花びらのように
儚かった
けれど
それはどんな想い出より
私の胸に刻み込まれて
私の記憶に
残り続ける
私の知ってる口づけは
甘く、優しく
蕩けるような
あなたの口唇
それは私の初めての口づけ
そしてあなたとの最後の口づけ




