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139. 春訪れて、君に逢いたし
まだ年も明けやらぬ頃からもう
君は春のお日さまの匂いがすると
そう言って微笑んで
春の訪れを待っていた
北の大地の厳冬の寒さは
君の体にはあまりにも酷で
それでも君は
最後の命の灯を燃やして
明日一日の生を掴み取る為に
どれほどの思いを強いられたことだろう
ほら、雪が溶けて
鳥は歌い
花々が咲き始めたよ
君が待ち望んでいた春が
ようやく訪れてきたよ
君に僕は語りかけるけれど
もう君は応えてはくれない
あんなにも待ち望んでいた春に
命の灯尽きた君
嗚呼、ただもう一度でいい
君に逢いたい……




