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138. 悲しい鳥は歌うことを忘れて
悲しい鳥は
深い深い緑の森の中で
どこまでも響き冴え渡る
美しい声をなくして
囀ることも忘れて
番の半身を想い
唯、哀しみに寄り添って
過ぎ去りし日々にのみ
想いを寄せ
唯、輝いていたときを
思い出して
悲しい鳥は
声をなくし
痛みに耐え
深い深い森の奥で
明日の朝の光を見出すことなく
今日もまた冷たい寝床で
美しい羽を伸ばすこともせずに
番の半身のみを想う
嗚呼、
失った声も番の日々も
戻って来ることはない
今日も悲しい鳥は
歌うことを忘れて……




