第2話
昼休み。
沙耶は4階にある音楽室にいた。
我が高校の生徒会長様に、話があると言われて呼び出されたのだ。
人差し指でグランドピアノの鍵盤を軽く叩く。
『ピロン、ポロロン……』
生徒会長様が自分なんかに、一体なにの話があるというのだろう。
さっきからずっと考え続けているが、まるで見当がつかない。
「私……なにかやらかした?」
首を傾げてふと思い出したのは、教室に置いてた花瓶を壊してしまい、ガムテープを貼って応急処置して、そのまま放置してるコト。
校庭清掃の時に、花壇に植えていた草花を雑草だと思い込み、全部キレイに引き抜いて捨てたコト。
はっ、もしや!
放課後に学校のパソコンをこっそり使い、ネットサーフィンしまくってたらウィルス感染してしまい、再起動を繰り返して電源が落とせなくなって、仕方ないから電源コード引っこ抜いてそのまま放置した、その犯人が私だってバレた!?
「なぜバレたっ!!?」
悲報:水埼沙耶の停学または退学勧告まであと数分。
あ、でも。
担任や校長から勧告なら分かるけど、音楽室で生徒会長が言う……?
「???」
沙耶が首を傾げまくっていたその時、ガラリと扉が開いた。
「水埼さん! ごめんっ、呼び出しておいて遅くなってしまって」
「……いえ」
担任に呼び止められてしまって、と言いながら駆け込んで来たのは、3年生の生徒会長をしている蘭堂先輩。
眉目秀麗、才徳兼備。多分こういう人のことを指すのだろう。
すごく素敵な人。
「缶コーヒーを持ってきたんだ。良かったら飲まない?」
「ありがとうございます。いただきます」
手渡された冷たいコーヒーを受け取り、隣同士に席に座る。
ちらりと横を見ると整った顔が見えた。
とても綺麗な顔。駿とは違う種類の綺麗。
意外に長いまつ毛、澄んだ目、鼻筋が通り、口元が優しげ。
蘭堂先輩の周りを包む独特の空気を感じる。
優しく、柔らかく、温かく、安心できる、沙耶が感じたことのない不思議なその空気。きっと誰もが間違いなく好意を抱くだろうと思う、そんな人物だ。
プルタブを開けて、コーヒーをひと口飲んでから、恐る恐る沙耶が話しかける。
「あの……話ってなんでしょうか?」
「うん。その、水埼さんは、今恋人はいるの?」
「え? ……いませんけど」
「毎朝一緒に登校しているあの彼は、違うの?」
思わずキョトン。
なんでそんな事を知ってるんだろうと、秀麗な顔をじっと見ていたら、それに気付いたらしい相手が、優しい口調で説明する。
「僕のクラスに遅刻ギリギリで登校する人がいて、時々窓から見ていたら、駆け込んで来る水崎さん達が見えたから。2人は恋人なのかなと思って」
「駿は……彼は、私の隣の家に住んでいて、同じクラスの人です」
「そうなんだ」
沙耶の返事に、どこかホッとしたようにそんな言葉を寄越すから、沙耶はますますキョトン。
そして一体なにの話だろうと困惑。
少しの間を置いた後。
手に持っていた缶コーヒーを机の上に置いて、蘭堂は真っ直ぐに沙耶を見つめ、静かな声音で告げた。
「君が好きなんだ」
「え?」
…………キミガスキナンダ?
思わず後ろを振り向いて確認して、でもそこに沙耶以外は誰もいない。
自分を指さして目の前の相手に訊いてみる。
「私、ですか?」
「うん、そうだよ」
私が好き……?
突然の告白に、しかも相手はあの生徒会長様。
「今年の入学式の日、式が終わった後で君は桜の樹の下で、桜の花をずっと眺めていたよね。凄く絵になっていて、綺麗な子だと思って僕は見惚れていた。僕はあの日、君に一目惚れしたんだ」
「そんな事……私、言われたの初めて」
「そうなの? 皆、見る目がないんだね」
澄んだ綺麗な瞳の中に、沙耶の姿がハッキリ映っている。
真っ直ぐな眼差しを向けたまま、蘭堂が自分の想いを伝える。
「良かったら僕と交際してくれませんか?」
我が校の女子全員が憧れている、一番人気のある生徒会長様から、今、告白されて交際を求められている。
目の前で起きているその現実に、びっくりで超びっくり過ぎて、瞬きをするのを忘れるくらい、沙耶はただただ驚いていた。
* * *
「ただいまぁ~」
大きくもなく小さくもなく、洋風で少しお洒落な一軒家が沙耶の自宅。
帰宅して玄関を開けると、きちんと揃えて置かれた男物の靴がある。
沙耶と駿は互いの家の合い鍵を持っている。
キッチンの方から美味しそうな匂いが漂い、次に駿のお怒りの声が降ってきた。
「遅ぇーぞ! 腹減って死にそうだ」
「ごめんーーー、着替えてくるっ」
玄関先でそう返事してから、子供みたいにドタドタと派手な音をさせて、階段を上って行き部屋で私服に速攻着替え、再びドタドタと階段を下り、洗面所で手洗いとうがいをしっかりする。
帰宅したら手洗いとうがいをするルール。
沙耶は喉が弱くて痛めやすい。だからこれを怠ると駿に怒られるのだ。
そうしてようやくキッチンに行くと、テーブルの上にはたった今盛り付けられたらしい、温かい食事が並ぶ。
本日の夕食のメニューは、野菜たっぷりポトフとエビフライと春巻きとマッシュポテト、3色団子とワッフルとプリン!?
「食べ物いっぱい、どうしたの?」
「団子は母さんが職場の人にもらったモノで、エビフライと春巻きとマッシュポテトは母さんの手作り。ワッフルとプリンも母さんから沙耶へ差し入れ」
「駿のお母さんが作るマッシュポテト美味しいから大好き! 駿が作るのも美味しいけど、少し味が違うんだよね」
キラキラと目を輝かせてそう言い、いただきますと両手を合わせて、食事の挨拶をしてから早速食べ始める。
私服の上にエプロンを着た、向かいの席に座る駿も一緒に食べ始める。
壁に掛けられた時計は只今7時。
いつも2人の夕食は6時。今日はたった1時間遅くなったのだが、成長期の高校生は、1時間が待てないほど腹空かしだ。
「美味しい~! 駿の作るポトフは野菜に味が染みてて最高っ」
「どこ寄り道して来たんだ?」
「ん、ちょっとご用事。マッシュポテトも美味しい~!」
「どうせコンビニでマンガでも立ち読みしてたんだろ」
美味しいを連呼しながら食事する彼女を、斜めに見た後、すぐに駿も食事に夢中になる。
駿の両親は駿が幼い頃に離婚。
現在は母親と2人暮らしをしている。
母親は個人病院で看護師の仕事をしていた。日勤より給料の高い夜勤専門で働いているため、昼と夜が反対の生活。駿が朝学校に出かけた後に母親は帰宅し、駿が学校から帰宅する少し前に母親が出勤する。
当然食事の時間も母親と入れ違いだから、以前は駿は1人で食事をしていたが、同じく1人で食事をしていた沙耶と、いつからか一緒に食事を摂るようになった。
菓子パンやコンビニ弁当で毎日を過ごしていた沙耶に、駿の母親は駿と沙耶の2人分の食事を毎日作ってくれた。そのうち駿が料理を覚えて、沙耶の家に来て料理を作れない彼女の代わりに食事を作り、朝晩一緒に食べるようになった。
沙耶は料理を作れないというよりは、作らないが正解かもしれない。
自炊できれば駿が沙耶の家に来る必要がない。駿が家に来なければ、母親が不在の沙耶は毎日ずっと一人だ。
誰かと一緒に食べるとおいしいね!
初めて一緒に食事をした日、何度もそう言いながら食べていた沙耶の姿を、駿は未だに鮮明に覚えている。
「そういえばお前、今日生徒会長と一緒にいたよな」
「ん?」
「昼休みに4階から一緒に階段下りてくるところ見た。なにやらかしたんだ?」
ふと思い出した駿が食べながら訊く。
あり得ないツーショットに、またなにかしたのかと問うと、沙耶が満面の笑みを浮かべた。
「なんだ、気持ち悪ぃ」
「私、蘭堂先輩に告白されたの」
「は……?」
駿の手が止まる。
箸も止まる。
動きも止まる。
「音楽室で告白されて交際を申し込まれた」
「…………マジか?」
「びっくりだよね、あの蘭堂先輩が私に愛の告白なんて! あ、こういうコトは個人情報だから、むやみやたらに他人に話しちゃダメなんだ。うん」
「もう言ってるだろ」
「ふふふふふふ」
全身から嬉しいよオーラを200%出す沙耶。
どこか不機嫌な駿。
「あのねっ、蘭堂先輩は今年の入学式の日、私に一目惚れしたんだって」
「ウチの高校の生徒会長は見る目がないのがよく分かった」
「入学式の後で、桜の樹の下で桜を眺めていた私を見て、すごく綺麗な子だと思ったんだって」
「生徒会長にはコンタクトと眼鏡のダブル着用を強く提言しよう。あの人裸眼だろ」
寄越される嫌味も全然気にしない。
人生初の男性から告白されたことに、沙耶は素直に嬉しいのだ。
エビフライをかじり、モグモグと食べながら、蘭堂を称賛する。
「蘭堂先輩、すごくいい匂いした。なにかつけてるのかな、柔軟剤の匂いかな」
「それで、沙耶はなんて返事したんだ?」
「蘭堂先輩、まつ毛長かった。それにすごく綺麗な目してた」
「沙耶はなんて返事したんだ?」
「蘭堂先輩に缶コーヒーごちそうになった。美味しかった」
「沙耶は、なんて、返事したんだ?」
はぐらかされ、若干イラついた声で駿が訊くと、沙耶は軽くひと言。
「断ったよ」
「……なんで断ったんだ?」
「駿が泣くから」
「なんで俺が泣くんだよ?」
意味深ににっこりと笑顔を見せてから、沙耶は美味しそうに団子を食べ始めた。
その姿を眺めた後、神妙な面持ちで駿が春巻きを食べながら言う。
「なぁ……俺と沙耶って、小学校からずっと一緒の学校だ」
「うん。ずっと一緒だね」
「小学校4年生の時だけ違うクラスで、それからは学校もクラスも一緒で、席はいつも近くだ」
「そうだね」
「俺はずっと考てたんだけどさ」
「うんうん、運命感じるとか?」
「俺、呪われてるんじゃないかって」
「なんでよっ!?」
頬を膨らませて猛抗議する沙耶に、素知らぬ顔で応戦する駿。
お互いにそうやって言葉遊びした後。
少しの間を置いて沙耶が言う。
「私、明日から福ちゃんラーメンでバイトする事にした」
「福ちゃんラーメン、って5軒隣にあるラーメン屋か?」
「うん。今日学校の帰りに面接してきて、仕事内容を簡単に教わってきた」
「だから遅かったのか」
「うん。来月お母さんの誕生日あるから。今年は高校生になったし、働いて自分で稼いだお金でプレゼント買おうと思って」
少し照れたように沙耶がそう話す。
毎年母の日と母の誕生日に、職場に行きプレゼントを渡している。
沙耶が母親に会えるのは年にその2日だけ。
「平日は学校が終わってから夜7時まで、土日は丸1日働いて稼いでくる。バイトするのは1ヶ月間だけ」
「まかない食って出るのか?」
「ううん、出ない。土日は昼食だけ出るって」
「じゃあ、食事作って待っててやるよ」
「うんっ!」
嬉しそうに返事した沙耶に、駿は綺麗な微笑を返した。
沙耶の王子様は時々優しい。
思春期で素直じゃない2人は、近づき過ぎず離れ過ぎず、そんなお互いの距離感を楽しんでいたのかもしれない。
* * *
その日の夜中。
物凄い息苦しさで沙耶は目を覚ました。
目を開けたが視界はボヤけている。全身がダルくてひどく重い。
とても熱い……なんだろう。
その時すぐ傍でカサリと音が聞こえた。
ゆっくり視線を向けると人の気配を感じ、一瞬ビクリとするが、その人物が駿だと気付く。
「……しゅん……」
「起こしたか、悪かった」
小さくそう言った後、大きな掌が沙耶の額に触れて、だがすぐに離れた。
「熱がある。体温計で熱を測るぞ」
豆電球だけの薄暗い部屋の中で、沙耶のパジャマの前ボタンを2つだけ外し、用意周到で持っていたらしい体温計を、慣れた手つきで脇に挟める。
「なんで……駿……ここにいるの?」
「夕食の時、お前の顔色が少し赤かった。熱を出す前に現れるサインだ。だから気になって様子を見に来た」
「すごい……係りつけの医者みたい……」
まるで医者みたいな発言。
熱のせいか駿の声は、エコーがかかったように聞こえる。
少しして電子体温計がピピピ、と鳴った。
体温計を取り出して駿が表示された温度を確認する。
「何度……?」
「41度を越えてる。待ってろ、薬を持ってくる」
「41度……」
すごい……初記録。
パジャマの上にパーカーを着た彼は、すぐに部屋を出て行った。
その姿は本当に医者みたい。
駿の将来の夢は薬剤を開発する研究者。沙耶の母親と同じ職業を目指している。
駿には心臓病で3才で亡くなった弟がいた。
弟を救えなかった想いが、目指す職業に秘められているのかもしれない。
成績優秀な駿だから、研究じゃなく医者になったらと沙耶が言うと、医者になるには金がかかるし俺の性分じゃない、そう返された。
駿の母親はそんな息子を陰ながら応援していて、また自分と同じシングルマザーで、研究者としてバリバリ働く沙耶の母親を尊敬していた。
駿が薬とコップに入れた水を持ち部屋に戻ると、ベッドの中で寝たまま、沙耶はぼんやり天井を見ていた。
「薬を持ってきた」
「ねぇ、天井が動いてる……ポルターガイスト?」
「幻覚だ。天井は動いてないから安心しろ」
「部屋の隅で……ドラえもんとダッフィーがあやとりしてる」
「怖いわ、やめろ。起きて薬飲めるか?」
駿の言葉に沙耶の返事はない。
聞こえているのかいないのか、熱のせいかぼんやりと暗い天井を見たまま。
手にしていた薬とコップの水をひと口含み、駿は顔を近づけ、そのまま沙耶に唇を合わせた。
コクン……。
柔らかい温かなものが唇に触れた後、液体と一緒に何かが沙耶の喉を通っていく。
ぼやけた視界の中、すぐ目の前に形の良い駿の唇が見える。
綺麗な顔が近づいてそしてもう一度、
コクン……。
「2粒、飲み込めたか?」
「……しゅん……」
「以前、お前が熱を出した時に調合してもらった即効性の解熱剤だ。1時間で熱が下がると思う」
医者口調でそう話して、何事もなかったように済まそうとしてるから。
さすがになにか言ってやりたくて、沙耶が口を開く。
「私の、ファーストキス……責任取ってよ」
「それは知らなかった。悪かったな」
「よく分かんなかったから……もう1回」
「静かに休め」
「……ケチ」
数分後。
すぐに薬は効き沙耶は静かに寝息を立てていた。
それを確認して、そっと部屋を出てドアを閉め、パーカーのポケットからスマホを取り出す。
自分の母親の職場に電話すると、電話口に出たのは母親本人だった。
静かな声で駿が話す。
「母さん、俺。沙耶が41度を超える熱を出した。今薬を飲ませて眠ったところ。母さんの病院の先生に、また往診を頼めないか? ああ……じゃあ、よろしく」
手短かに用件を伝えて電話を切る。
沙耶が病気になった時、駿が連絡するのは看護師をしている自分の母親だ。
初めて沙耶が寝込んだ時、駿は沙耶の母親に電話をしたが、
『救急車を呼んでちょうだい。今仕事中だから電話切るから』
そう言われすぐ電話を切られた。
それ以来沙耶が体調を崩しても、駿は沙耶の母親に連絡していない。
おかげで看病は手慣れたものだ。
自分の娘がケガをしても、熱を出して数日間寝込んでも、無関心で気にもかけない。電話1本寄越さない。
仕事優先の沙耶の母親には違和感を感じる。
「……」
振り向いて一度部屋の方を見た後、熱を冷やすタオルを取りに、静かに階段を下りて行く。
その夜。
駿は沙耶の傍から離れることはなかった。
* * *
翌朝。
沙耶はパッチリ目を覚ました。
とてもクリアな気分。
すぐ横に、椅子に座りスマホをいじってた駿がいて、気付いた彼と目が合った。
「おはよう」
「……おはょ」
「気分はどうだ?」
「うん……いい」
自分の左腕を見ると点滴が刺されている。
枕元に置いた目覚まし時計は朝の9時。
「駿……学校は?」
「今日は土曜で学校は休みだ」
「……そうだった」
スマホをポケットにしまってから、駿が沙耶に言う。
「昨日の夜、母さんが働いてる病院の先生に往診に来てもらった。高熱の原因は分からないが、インフルではないらしい。今打ってる点滴が3本目で、それが終わったら針を抜いて、今日は1日安静だ。下で今、母さんが沙耶に朝食作ってる」
「おばさん……来てくれてるんだ」
「熱は平熱に戻ったけど、今日のバイトは休め。行くなら明日からにしろ」
「……うん」
相変わらず朝から綺麗な顔の、沙耶の王子様からのそんな指示。
昨夜41度の高熱を出した事を思い出し、そしてもうひとつを思い出す。
「ねぇ……駿」
「うん?」
「昨日、駿と私キスしたよね?」
「なんだ、覚えてたのか。あれは事故みたいなものだから気にするな、忘れろ」
事故!?
沙耶の初キスはまさかの事故扱い……。
事故処理扱いでなかったことにしようとしてる相手に、ならばと考えて、机の上に置かれたペットボトルのジュースが目に止まる。
おばさんの差し入れだろうか。
それを見ながら沙耶が言う。
「喉乾いたな……ジュースが飲みたい」
駿がペットボトルのキャップを開けて、ジュースを差し出すと、ベッドの中で寝たまま沙耶が平然と言う。
「起きれない。私、病人だから。でもすごく喉乾いてて、今すごく飲みたいんだ」
お目々キラキラ。
血色&肌ツヤ良好。
一見して元気。
沙耶の顔を見てそう判断した駿は、自力では飲めないので口移しで飲ませてくれ、遠回しにそう訴えてるらしい自称・病人に言う。
「じゃあ、点滴にジュースを混ぜて入れてもらおう」
「え?」
「自分で飲めないんだから仕方ないだろ。口からだろうが腕からだろうが、体に入れば一緒だ。なに気にするな」
「へ?」
「母さんに頼んできてやる。待ってろ」
そう言って駿が椅子から立ち上がると。
突然ベッドからムクリと起き上がり、彼が持っていたジュースを右手で奪い、自力で飲めないと主張していた自称・病人は、ゴクゴクと自分で飲み始めた。




