【27話】デートプランの作成
漫画を閉じた俺と鷹城さんは、顔を突き合わせた。
「まずは改めて、今日の調査結果を報告からするよ」
「おう、頼む」
「剣崎は今、先輩との関係に不安を抱えている。これはかなり勝算があると思う」
「だよな! 私もそう思った!」
「つまり、二人の距離は離れている。だからここは、攻めだ」
「攻める……つまりそれは、闇討ちするってことか?」
「……いや、そういう意味の『攻め』じゃないから。アプローチするってこと。剣崎との距離を一気に詰めるんだ」
「具体的になにすんだよ?」
「おもいきってデートに誘うのがいいと思う」
「マジかよ!? そ、それはいくらなんでも早すぎじゃねぇかな……」
鷹城さんはもじもじしてしまう。
いつもは強気なのに、剣崎のこととなると急に臆病になるらしい。
「確かにそうかもしれない。でも、剣崎はやり手だ。今は先輩とうまくいってなくても、そのうち関係が修復して付き合い始めるかもしれない。それに今の状況は俺たちにチャンスであると同時に、剣崎を狙う他の女子たちにとってもチャンスなんだ。もたもたしてたらその子たちに、先を越される可能性だってある」
「確かにな。狙ってる女は、私だけじゃねぇもんな」
「ともかく、早めの行動が必要なんだよ」
「……そうだな、うん。マサの言う通りだ。やっぱりすげぇよお前! 相談して正解だったぜ!」
瞳を光らせた鷹城さんが、笑いながら俺の肩をバシバシと叩いてくる。
俺はそっけなく、「どうも」としか返せない。
褒められるのは悪い気がしないが、そうまで言われるのは少し気恥ずかしかった。
「そういう訳で、デートのプランを考えよう」
「よしきた!」
それから俺と鷹城さんは、デートプランを練っていく。
しかし、作業は難航。
異性と付き合ったことが一度もない俺は、デートもした経験がない。
鷹城さんもたぶん――というか、99%の確率でそうだ。
集まっているのがそんな二人なものだから、デートプランを立てようと思ってもすんなり進まない。
遅くまで作業するも、進捗は微妙。完成まではまだまだ程遠い。
「なかなか難しいな。ぜんぜん進まなかった」
「でも、こればっかりはしょうがない。明日もやろうよ」
「おう。よろしくな!」
翌日から、毎日の放課後に鷹城さんが俺の家に来るようになった。
くだらない雑談をしたり漫画を読んだりなど、休憩をときどき挟みながら、遅くまでデートプランを練っていく。
そんな毎日が二週間ほど続いて。
「できた!」
ようやくデートプランが完成した。
ずいぶんと時間がかかってしまったが、その分だけクオリティは中々だと思う。
自分でも言うのもなんだが、結構イイ感じに仕上がっている。
あとはこれを実行に移すことができれば、鷹城さんと剣崎の仲はグッと縮まるはずだ。
「やったね鷹城さん!」
「……あ、あぁ」
大喜びしていると俺とは対照的に、鷹城さんはあまり嬉しそうではなかった。
表情に陰が差している。
「これでここに来るのも最後だと思うと、なんか寂しくてさ」
「……ごめん。もう一度言ってもらっていい?」
なにか言ったようだが、あまりにも小さい声だったので俺には聞き取れなかった。
だから聞き直そうとしたのだが、
「いや、なんでもねぇ。気にしないでくれ」
鷹城さんは柔らかな笑みを浮かべる。
少し気になるけど本人がそう言うなら、大したことではないのだろう。
だから俺は、それ以上の追及をしなかった。




