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【25話】調査


 帰りのホームルームが始まる直前。

 少し離れたところにいる鷹城さんに目配りで合図をしてから、俺は剣崎の席へと向かった。

 

「ちょっといいか剣崎。お前一週間くらい前に、『今度先輩とデートする』って言ってたよな。あれってさ、どうなったの?」

「村瀬の方から聞いてくるなんて珍しいな! なんか嬉しいよ!」

「あぁ……うん。たまにはね」


 テキトーにごまかす。

 

 ……言えない。

 鷹城さんの恋路を叶えるために剣崎と先輩の関係を探っているなんて、とても言えない。

 

 ちくちくと罪悪感が襲うが、俺はそれを押しつぶす。

 鷹城さんの手伝いをすると、そう決めたのだから。


「でも、悪いな。いい報告はできないんだ。……失敗しちまった」


 失敗って、マジか?

 話を聞いていた限りだとうまくいっていそうだったのに、これは驚きだ。

 

 でもそれって、鷹城さんにとってはいいことだよな?

 

 今の俺は鷹城さんの味方だ。

 剣崎には悪いが、俺たちにとってはいい感じの波が来ているということになる。

 

「『ベタベタしすぎ』って注意されちまったんだよ。外でそういうことされるのが恥ずかしいんだとさ。けど俺的にはこれでも、かなりセーブしている方なんだぜ? もしかして俺たち、あんまり相性が良くないのかな……」

「決めつけるのはまだ早いよ。そう落ち込むなって。次のデートで挽回すれば大丈夫」


 気落ちしている剣崎にそれっぽい励ましの言葉をかけつつも、内心では真逆のことを考えていた。

 

 これはイケるぞ!

 

 鷹城さんに向けて、グッと親指を立てる。

 

 剣崎は先輩との関係に自信が無くなっている。

 かなりいい流れだ。勝算は十分にあるように思えた。

 

 鷹城さんも俺と同意見なのか、キメ顔で親指を立て返してきた。




 その日の放課後。

 

 帰り道を歩いている俺に、電話がかかってきた。

 スマホの画面に表示されている相手は、鷹城さんだ。

 

 どうして俺の連絡先を――あぁ、そうか。

 この前、トインを交換したんだっけ。

 

 そんなことを思い出しながら、俺は電話に出た。

 

「マサ、これから暇か?」

「うん。空いてるよ」

「じゃあさ、これから作戦会議しようぜ! こういうのは勢いが大事だからな!」

「そうだね」


 勢いが大事、という彼女の意見には同意だ。

 今日の素晴らしい調査結果を基に次の作戦を立てるなら、早ければ早い方がいい。


「前行ったファミレスでいいか?」

「いいよ」

「あ……いや、待ってくれ。私今、金欠なんだよ。悪いけど金がかからないところにしてくれ」


 じゃあこの前は、金欠なのにおごってくれたのか。

 後先をあまり考えない、猪突猛進タイプなのかもしれない。

 

「それなら俺がおごるよ」

「ダメだ。私の相談に乗ってもらってるのに、そんなことさせられねぇよ」


 結構律儀なんだな。

 軽そうな見た目からは想像できないが、そういうところはしっかりとしている。


 しかし、どうしたものか。

 鷹城さんのリクエストは、金をかけずにゆっくりと話せる場所だ。

 

 そう言われたって、簡単には思いつかない――あっ。

 

 たった一つだけ、パッと頭に思い浮かぶ。


「それじゃあさ――」


 俺はその場所を、鷹城さんに提案してみた。

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