92 金髪クール系ヤンキー女子・進藤ゆりかとの関わり⑤【挿絵有】
九十二話 金髪クール系ヤンキー女子・進藤ゆりかとの関わり⑤
進藤さんが家に帰りたくない理由は、父親が嫌いだから。
そしてヤンキー女子仲間でもある陽キャ・佐々木さんや退院した黒沢さんと関係が悪かったのは、亡くなった進藤さんの姉の話題を出されたから。
それを聞いたオレは思わずこう言ってしまったんだ。
「え、あ……そうなんだ」
◆◇
望んでいた反応ではなかったからか、オレの反応を見るなり進藤さんはオレに「は?」と一言。
その後視線を男の急所へと向けたため、命の危険を察したオレはすぐに次の言葉を発した。
「いや、待って進藤さん!! 今のは別に興味ないとかそんなのじゃなくて……、オレにどうにか出来そうかなって思ったから!!」
オレの発言に進藤さんはピクっと体を動かし反応。 詳しく話を聞きたくなったのであろう。 握りしめていた拳を緩め、視線をオレの顔へと戻す。
「加藤がどうにか出来る? どういうこと?」
父親嫌悪も陽キャ・佐々木さんたちとの喧嘩理由も、どちらもきっかけは姉の死なんだ。 だったらその張本人と会わせさえすれば、進藤さんの心も軽くなるのではないだろうか。
オレは御白にアイコンタクトを送る。 すると御白は小さく頷いて外へ……進藤さんから聞いた通りの、黒髪ロング・色白の少女を引き連れてきた。
『良樹ー、連れてきたぞー』
『わわ、わわわ私、神様に腕を掴まれてる……!』
おぉ、流石は姉妹。 髪色とかクールな目つきこそ違うも、顔つきは似てるもんだな。
オレが感心しながら少女・すみれさんであろう人を見つめていると、それに気づいた進藤さんが「何、どした?」とオレの向けていた箇所へと視線を追っている。
「加藤? なんで急に無言で反対側向いて……なんか変なものでも視えた?」
「あーいや、えっと……」
今の進藤さんの言葉、利用しない手はないな。
オレは進藤さんに視線を戻すと、「実はさ……」と話を切り出した。
「なに?」
「あのさ、今からオレがすることは誰にも内緒……口外禁止でお願いできるかな?」
「は?」
「えっと……お願いできる?」
「なに? エロいこと?」
「違うよ!!」
あー、そうか。 男女二人きりだったらそういう考えされても仕方ないよな。
オレは断じてそういう目的ではないことを熱弁。 進藤さんにはデメリットがなくオレにもメリットがないことを説明した上で、改めて許可を取ることにした。
「確かに今からすることは、進藤さんに触ることなんだけど……それに意味があるんだ」
「まったく意味がわかんない。 でもまぁ……うん、エロいことじゃないんでしょ? いいよ」
ようやく進藤さんから許可を貰えたオレは、早速彼女の後ろへと回り込む。
「え、マジ何すんの?」
「まぁまぁ」
「後ろから揉むとか無しだから」
「分かってるって」
回り込んだオレは、御白と少女・すみれさんにアイコンタクト。 進藤さんの前にすみれさんが立つのを待って、ようやくその肩に触れた。
「は? 加藤なんで肩なんか触ってって……、え」
進藤さんの顔の向きが、一定の方向で固まる。
そしてしばらくの沈黙の後、進藤さんは体を小さく振るわせながら小さく口を開いた。
「お、お姉……ちゃん?」
『え』
よし、これで後は、すみれさんと話をさせれば万事解決だ。
そう思っていたのだが……。
◆◇
安心したオレがホッと胸を撫で下ろしていると、突然進藤さんの背中から黒い靄のようなものが出てきているのを確認。 咄嗟にオレは進藤さんから距離を取る。
「ん、加藤……どうした? ていうか今私、お姉ちゃんが視えてたんだけど」
進藤さんが目を大きく見開きながらオレを見上げる。
しかし今その問いかけに答える余裕はない。 オレが視線を向けていたのはその奥……進藤さんと同じような見た目をした、額から二本のツノの生えた『何か』だった。
あれは……なんだ?
お読みいただきましてありがとうございます!!
やっと挿絵描けた……。
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