84 まさかの遭遇
八十四話 まさかの遭遇
夜中のリビング。 オレはあまりの腹痛に思わず目を覚ました。
「いたたた!! な、なんだなんだ!?」
今まで経験した中で、間違いなく一番の痛み。
横になっていたソファーの上でもがき苦しんでいると、それに気づいた御白とメリッサが驚いた様子で近づいてくる。
『ど、どうしたのじゃ良樹!』
『ヨッシー、大丈夫!?』
こういう時に夜更かししてるサキュバスや、そもそも睡眠を必要としない神様がいると助かるものだな。
オレは二人に人生で最大級の腹痛がきたことを説明。 しかし神様やサキュバスにはどうすることも出来ないようで、オレ以上に人ではない二人がアタフタし始める。
『あわわわわ!! どうすれば良いのかなネコちゃん!!』
『そ、そうじゃな! とりあえず唯一の成人……良樹の部屋で寝ている舞でも叩き起こすか!?』
『何言ってんのよネコちゃん!! あの人、私たちのこと視えない普通の人間じゃんー!!! どーやって起こすのよ!!』
『え、あっ……。 そ、そうじゃった!! 妾としたことが、つい動揺しておかしな事を口にしてしもうたわー!』
御白のやつ、そんなドジをするほどにオレの事を心配してくれているなんて。 嬉しすぎるぜ。
その後オレは腹痛が治らないまま朝を迎えることに。
もちろん朝食の準備を出来る余裕もなかったため、今日に限っては愛ちゃんとマリア、二人にお願いしたのだった。
まぁ……その、なんだ。
オレはソファーで横になりながら聞いてたんだけど……
「んーっ! マリアちゃん、これ美味しい!! 焼いた食パンの上に目玉焼きって、こんなに合うんだね!!」
「愛こそ。 お味噌汁、美味しい。 やっぱり朝は、お味噌汁に限る」
「愛ちゃんもマリアちゃんも料理上手ねー。 先生も見習わなくっちゃー」
ーー……目玉焼き食パンに味噌汁の組み合わせって。
まさに洋と和のコラボレーション。
あまり想像できないし、今のオレの状態では食べたいとは思わないけど……愛ちゃんとマリアお手製の料理は流石にレアすぎる。
腹痛が治ったらお願いしてみることにしよう。
「お兄ちゃん、何かあったら電話してね」
「マリアにでもいい。 そうしたら、愛と二人で急いで帰ってくる」
「そうですよー。 良樹くん、私に連絡してくれてもいいですからね」
「ありがとう……、いってらっしゃい二人とも。 いてててて」
三人を見送った数時間後、オレは学校に腹痛のため休む旨を電話で伝えた後に重い腰を上げて病院へと向かう。
『良樹、一人で大丈夫か?』
「あぁ、サンキュな御白。 トイレも結構近いから、公衆トイレが多いルートで向かうとするよ」
メリッサは愛ちゃんたちと同行しているため、御白は家でお留守番。
オレは体を丸めて小さな一歩を繰り返しながら少しずつ前へ。 いつもなら十五分ほどの距離を約一時間かけて、なんとか目的の病院まで到着した。
◆◇
「多分カンピロバクターですね」
「カピ……んん?」
「昨日食べた唐揚げが生っぽかったんですよね?」
「はい」
「じゃあ十中八九それ……カンピロバクターですわ」
「ーー……」
診察の結果、名前こそ覚えきれなかったのだがオレのこの腹痛は食中毒とのこと。
よく火の通っていない鶏肉等でなってしまうらしく、見事オレはそれを引き当てたらしい。
愛ちゃんやマリア、高槻さんのお弁当に入り込んでなくてよかったぜ。
オレはその食中毒の細菌を減らす薬等を処方してもらい、まずは病院内で痛み止めを飲む。
「そういや消化の悪い食べ物はあまり食べないようにするんだったか……」
家に栄養ドリンクやゼリー飲料みたいなものは無く、そもそも買った記憶もない。
「これは……次は家じゃなくて買い物コースかよ」
大体三十分ほど経つと、ようやく腹痛が少し楽になってきたのでオレはすぐに行動を開始。
リミットは薬の効果が切れるまで……オレはかなりの早歩きで買い物へと向かった。
中規模のスーパーに到着したオレは、大量のゼリー飲料等を購入。
外に出ると日差しが激しく暑かったためタクシーで帰ることに決めたのだが、オレがタクシー乗り場へと向かっている途中……平日だというのにも関わらず、背後からオレの名を呼ぶ声が聞こえてきたのだった。
「あれ、加藤?」
「え」
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