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81 オレ流、道徳の授業【イラスト有】


 八十一話  オレ流、道徳の授業



 夕方。 リビングでヤンキー女子の一人・金髪クール進藤さんに悪魔が憑いていたことを聞いた愛ちゃんとマリアは揃って驚きの声を上げた。



「えぇ!? あのゆりかちゃんに!?」

「ゆりか、大丈夫だった?」



 そういや二人とも、前に海に行った時に少し打ち解けたんだったな。



 オレは二人に進藤さんはもう大丈夫なことを伝える。 すると二人は顔を見合わせ安堵しつつも、今日愛ちゃんたちの通う小学校でも悪魔が憑いていた教師が数人いたことをオレに報告してきた。



「ええ、そうだったんだ。 確かに先生ってストレスとか闇の多い職業だし、悪魔にとっては格好の巣になるのかな。 高槻さん……先生は大丈夫だったの?」



 とりあえずマリアに尋ねてみると、マリアは静かに首を縦に。

「舞は大丈夫。 昨日メリッサも、舞の中には悪魔いないって言ってた」と確信めいた表情で答える。



「そっか。 それはよかった」


「そういや良樹、メリッサは?」


「あー、メリッサなら今頃は駅なんじゃないかな? たくさんの人が利用するし、その分悪魔憑きを見つけやすいんじゃないかって言ってみたらすぐに飛んでったよ」


「むぅ。 マリアも連れてって欲しかった」



 マリアは可愛く頬を膨らませて拗ねているが、これはこれでかなり可愛い。


 オレがそんなマリアに癒されていると、ポケットに入れていたスマートフォンが震えていることに気づく。 取り出し確認してみたところ、それはメールの受信通知。 ヤンキー女子・黒沢さんからで、何か嫌な予感がしたオレは一瞬眉をひそめた。



「うん? お兄ちゃんどうしたの? メール?」



 オレの一瞬の表情に気付いたのか、愛ちゃんが不思議そうに首を傾げ尋ねてくる。



「あ、うん」


「ゆづきちゃんから?」


「違うよ。 えーと……黒沢さんって覚えてる?」


「奈々ちゃん?」


「そうそう」


「なんて?」


「分かんない。 今から見るけど……一緒に見る?」


「うん、みる!!」



 どうせ下ネタとかではないだろうし、一緒にみても平気だろう。

 マリアも気になっている様子だったので、オレは愛ちゃんとマリアの三人で黒沢さんからのメールを見てみることに。

 するとやはり予想は的中……下ネタではなかったとはいえ、そこにはオレの頭を悩ませる内容が書かれていた。



【受信・黒沢さん】ごめんね急にー。 実はさ、今日見てて気付いたとは思うんだけど、今私と楓、ゆりかと微妙な感じなんだよね。 だからさ、前にゴリラから守ってくれたみたいに解決手伝ってくんないかな。



「ーー……」



 おい、オレは便利屋じゃねーぞ。



 あえて返信はせずに電源を切ると、愛ちゃんとマリアから同時に視線をオレへと向けてくる。



「な、なにかな」


「お兄ちゃん、手伝ってあげるの?」

「ゆりか、喧嘩してる? マリア、ゆりかと仲良くなったから心配」



 うーーん、前にも向けられたことがあるぞこの視線。

 二人は純粋な心でそうオレに言っているのだろうが、ここははっきりと言ってくべきだよな。


 

「いや、これに関してオレはノータッチかな」



「えっ!」

「なんで?」



 オレは驚く二人に優しい口調で理由を説明。

 何か頼まれるたびに動いていたらそれが当たり前になってしまうこと、オレも自分のことで精一杯なことを伝えると、二人は未だ完全には納得はしていない様子で難しい顔をしている。



「でもお兄ちゃん、学校の道徳の授業では、困ってる人がいたら助けてあげてって習ったよ?」


「うん。 でもそれに付け加えると……相手の状態と、理由にもよるよね」


「そうなの?」


「そうそう。 例えばもしお腹を空かせた愛ちゃんがコンビニでお菓子を買おうとしてて、一緒にいたお友達が『私にも買って』って言ってきたら、買ってあげる?」


「んー、お金をあんまり持ってない子だったら、その時だけ買ってあげるかも?」


「じゃあさ、その子はお小遣いをもらってるんだけど、好きな漫画やゲームを買いすぎてお金がない子だったら?」


「それは……買わないかな。 お金がないのはその子が全部使っちゃうのが悪いもん」


「でしょ? それと一緒。 幽霊とかで困ってて、オレじゃないとどうにもならなかったりするんだったらオレは助けるよ? でも今回のお願いは仲直りを手伝ってって内容は、オレが関係ないのに割って入ったりしたら、進藤さんからしたら余計なお世話じゃない?」


「あ、そっか」



 愛ちゃんは少なからず分かってくれたようだが、未だマリアはその隣で首を傾げている。



「でもゆりかのお友達、困ってる」


「んーー、それはそうなんだけど、どう言えばいいのかなー」



 マリアにももっと分かりやすく教えてあげたいところなんだけどな。 そろそろ夕食の準備をする時間だったため、マリアへの説明は愛ちゃんに任せることに。 

 オレはスマートフォンをポケットに戻し、キッチンへと向かった。



「ーー……ん?」


「どうしたのお兄ちゃん、急に立ち止まっちゃって」


「え、あ、ううん。 なんでもない」



 なんだかお腹に違和感があるような……気のせいか。



挿絵(By みてみん)


お読みいただきましてありがとうございます!!

一昨日あたりから絵の調子があんまり良くなかったので、描き慣れた前作のキャラでリハビリしました 笑

『小五に転生したオレは変態脳で人生を謳歌する!』作者ページから飛べますのでよろしければ! かなり話数があるので時間が空いた時にでも是非!


励みになりますので感想や評価・ブクマ・レビュー・いいね等お待ちしております!!



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